女子サッカーなでしこリーグ1部の浦和レッズレディースが27日、さいたま市のレッズランドで今季の練習を始動した。

練習前のミーティングでは、就任2年目を迎える森栄次監督(60)が目標として全タイトル獲得を掲げた。指揮官は「去年はリーグ戦を優勝しようと言いましたが、今年は全部とりにいこうと。(日テレ)ベレーザやINAC(神戸)など壁はありますが、去年1年やって、多少なりとも手応えはあったと思う」と覚悟を語った。昨季は序盤から首位をキープしながらも終盤に失速。残り2節で女王日テレにかわされてリーグ5連覇を許し、皇后杯決勝でも日テレに敗れて無冠に終わった悔しさも頭にある。

始動初日はミニゲームなどは行わず、パス回しのほか、基礎体力を取り戻すためのインターバル走に多くの時間を割いた。日本代表MF栗島朱里(25)は「タイトルをとろうという気持ちで集中していて、みんないい表情をしていました。森さんとの1年目で積み重ねた部分はある。もっと強いチームになりたい」と力を込めた。

愛着ある練習場にも戻ってきた。この日、練習したレッズランド(さいたま市桜区)は昨年10月の台風19号の影響で同13日未明に水没。東京ドーム約3個分の敷地が水深5、6メートルの冠水状態となり、使用不可になっていた。以降は県内のグラウンドなどを転々としながら練習してきたが、流れ着いた泥などの懸命な除去作業の末、今月24日に人工芝ピッチが復旧。まだ部分的に使えないピッチもあるが、ナイター設備も2月中に復旧のめどが立つなど、練習環境も元通りになりつつある。日本代表FW菅沢優衣香(29)は「たくさんの人に支えられて使えるようになった。自分たちだけでなく、いろんな人が使えるようになったら、また活気が出ると思うので、早くそうなっていったらいいなと思います」と話した。

今季はドイツ1部フライブルクから復帰したMF猶本光(25)をはじめ、ジェフ千葉レディースからはDF上野紗稀(25)を獲得するなど、戦力は充実しつつある。森監督は「いろいろ考えましたが、去年の流れのままいきたい」と優勝争いを演じた昨季と変わらず主将をMF柴田華絵(27)、副主将は日本代表DF南萌華(21)に託した。「やっていることを変えるつもりはない。磨きをかけて、1年間戦っていきたい」。頂点だけを見据え、浦和レディースの20年が始まった。