北海道コンサドーレ札幌は14日、新型コロナウイルス対策で「接触8割減練習」を導入する方針を決めた。

札幌の野々村芳和社長(47)によると、早ければ21日から選手、スタッフら約50人を4~5組に分け、時間差で順番に練習する。多くのクラブが活動休止に追い込まれ、練習再開のめども立たないクラブもある中、政府の方針に従いながら練習継続の道を探った。全選手からの約1億円の報酬返納申し出に続き、クラブ独自の取り組みでウイルスに立ち向かう。

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札幌がサッカーでの「接触8割減」実現を目指す。札幌・宮の沢で取材対応した野々村社長は「政府から言われているようにピッチにおいても(接触)8割減を目指す」と宣言した。早ければオフ明けの21日から、分散練習を開始。5月6日までの実施を想定している。

選手、スタッフ総勢は約50人。4~5組に分け、時間差で1時間半~2時間程度の練習を1組ずつ順に行っていく。選手は6、7人と少人数のため、紅白戦は難しい。ボール回しやパス練習、フィジカルトレーニングが中心となることが予想される。

当初はチーム活動休止も選択肢にあった。だが、元選手でもある野々村社長は「選手は練習をやりたいし、やらないと怖いって思いは僕も理解できる」。コンディション維持を心配する選手の願いを少しでもかなえたいと考え「接触8割減」での練習再開を決断。「安全にトレーニングできる環境を選手に提供していかないといけない」と続けた。

北海道では2、3月に独自の「緊急事態宣言」による外出自粛呼び掛けがあり、一時、感染者の増加が鈍化。12日には北海道と札幌市で休校、外出自粛を呼びかける「緊急共同宣言」を発表も、東京など7都府県の緊急事態宣言よりは緩やかなものだった。それでも、野々村社長は「日本全体を考えると、しっかり(接触を)8割減らすことを含めて協力しないといけないんじゃないか」と、政府の方針に歩調を合わせた。

6日に全選手の報酬一部返納の申し出を受けたことを発表し、他クラブやスポーツ界にインパクトを与えた。今回も他クラブに先んじて練習再開を宣言。野々村社長は「サッカーの現場も(接触)8割減を目指しながら、前に進んでいこうよってメッセージになれば」と独自の新型コロナウイルス対策に自信を示した。【保坂果那】

<札幌の新型コロナウイルスに関する独自の動き>

◆報酬返納 今月6日、全選手の報酬一部返納の申し出を受けたことを発表した。5日に主将のMF宮沢らから野々村社長に選手の総意として申し出した。総額約1億円になる見込み。新型コロナウイルスの影響によるクラブの損失は約5億円を見込んでいるが、選手の報酬減額の実行は、今後の経営状況次第のため未定。

◆練習見学 3日から一般の練習見学を一時再開。隣接するスポンサー企業の石屋製菓の「白い恋人パーク」の一部営業再開(14日から臨時休業)に準じた。入場前に検温やアルコール消毒を実施し、予防対策を講じていた。だが、感染者が再び増えたこともあり、13日から公開を再自粛。

◆地域貢献活動 試合再開日程白紙の状況で、野々村社長は中断期間に、選手による地域貢献活動に力を入れる方針。状況を見ながら活動内容を決めて実行していく。