ガンバ大阪の宮本恒靖監督(43)が、執念采配で連敗を2で止めた。

両軍無得点で迎えた後半29分、同時3人交代で勝負を懸け、その4分後、途中投入されたFW渡辺千真(34)が決勝点を挙げた。3試合ぶりの得点と勝利、9戦ぶりの無失点をマークしたG大阪が貴重な白星をつかんだ。

北の大地でなりふり構ってはいられない。ツネ様が後半29分、動いた。主将のDF三浦が右大腿(だいたい)部を痛めてプレー続行が不可能となり、DF昌子とMF遠藤、FW渡辺を一気に投入。大胆な“3枚替え”は今季4度目で、その執念が4分後、渡辺のJ1通算97点目となる決勝ゴールとなって表れた。

「難しい時間が続き、途中から入った選手がゴールを決めて、チームとしてはプラスになった」と宮本監督は評した。最近2試合は無得点で2連敗中だった。好機はつくるが得点できない。この試合も流れは同じで、断ち切る意味でも3人替えで局面打開を図った。

実際に得点場面は、相手CKからの高速カウンターで、遠藤が左サイドに展開させ、本来は右サイドにいるはずのDF高尾、藤春とつなぎ、最後は渡辺が仕留める形。交代策が実った。

事実上のアシストとなる左クロスを供給した藤春は胸を張った。8月29日FC東京戦で自身のミスから失点するなど、最近は不調が目立ったが、宮本監督から励まされ、我慢強く使われてきた。

「人間はミスをしないことはない。メンタルでアスリートは強くならないといけない。何とか取り返そうと毎試合入っていた。(東京戦後の試合も)使ってもらったので、監督とチームのために勝ちたかった」。意気に感じていた元日本代表は続けて、決勝点の場面を振り返った。

「(パトリックと渡辺は)高さがあるので、いい球を上げれば決めてくれる。いいカウンターができ、いい位置に(渡辺が)入ってくれた」

前節まで6試合で1勝1分け4敗。直近8試合連続で失点し、その間の複数得点も2試合だけ。宮本監督は「失点が8月から9月にかけて多く、選手も何とかしなければならないと練習から取り組んでいた。みんなで90分間戦えた」と、総力戦での1勝を喜んだ。

この試合は7月12日の清水エスパルス戦以来、12試合ぶりに4バックでスタートさせた。従来の3バックではリズムがつかめていなかった。

「札幌相手にどういう試合運びをするかで、3日間の準備期間あったので(変更した)。常々1つのシステムで1年戦うのは難しいと思っていた。危ない場面もあったが、しっかりみんなが体を張って守った」と宮本監督。一時は首位川崎フロンターレに肉薄する2位にいたが、最近は中位が定位置になっていた。この1勝を契機に、G大阪は再び上位争いに加わりたい。【横田和幸】