ガンバ大阪が鬼門を制し、破竹の6連勝を飾った。01年の勝利を最後に、16戦未勝利が続いたアウェー東京戦は、FWアデミウソン(26)のPKで1-0と逃げ切った。台風接近による大雨の中、球をつなぐスタイルを返上。「割り切り」を合言葉に球を単純に放り込んで白星をつかんだ。2位東京とは勝ち点3差、3位C大阪とは同1差の4位。試合消化の少ないG大阪が“隠れ2位”といえそうだ。

    ◇    ◇    ◇

大雨で味スタのピッチは田んぼのようだった。試合前のミーティングでG大阪宮本監督は言った。「今日は割り切っていく」。転がらないパスに固執するより、浮き球などの中距離パスを多用し、単純に相手ペナルティーエリア(PA)に放り込む作戦を選んだ。

前半39分、FW宇佐美がFKを敵陣に蹴り込み、その跳ね返りをMF井手口が浮き球で放り込んだ。それが相手PKを誘い、同41分にアデミウソンが今季2度目のPKを沈めた。

「通常やりたいサッカーを表現せず、相手守備の背後やPA内に入れていくことを徹底した。選手はきっちりやってくれた」と宮本監督。正確なキックに定評ある宇佐美を、2列目に配置した采配も当たった。

実際に東京の猛攻に遭いながら、この6連勝中では3度目の完封。失点危機は徹底したブロックで阻止し、DFキム・ヨングォンは「相手の前線には強力外国人が複数いるので、守備ラインで用意してきたものをしっかり出せた」と喜ぶ。

敵地東京戦を最後に勝ったのは第1次小泉政権が発足した01年。7月14日に味スタで2-0で勝って以来、国立の1試合を含めて5分け11敗と鬼門だった。

19年前はDFで先発していた指揮官は「最近その質問を多く受け、そんなに勝ってなかったのかと初めて気付いた。みんなの頑張りで勝ちきれた」。2位東京より3試合、3位C大阪より1試合消化の少ない4位G大阪。上位2チームに出場権が与えられる今季の天皇杯のためにも、2年前の9連勝を上回る快進撃を続けたい。【横田和幸】

◆鬼門(きもん) 陰陽道(おんみょうどう)で鬼が出入りするとされ、注意すべき方角。北東の方角を指すという。鬼門とは反対の方角の南西を裏鬼門と呼び、鬼門と同じく嫌われる。それゆえ、行くと悪いことが起こる場所などとされる