藤枝明誠が3-0で前年度全国覇者の静岡学園を破り、4年ぶりの決勝進出を決めた。MF賀茂大紀(3年)が後半に2得点を挙げる大仕事をやってのけた。東海大静岡翔洋はFW中沢勘太(3年)が全3得点に絡み、3-1で浜松開誠館に逆転勝ち。決勝トーナメント初戦からU-18プリンスリーグ東海所属の3校を破る快進撃を見せ、前身の東海大一以来28年ぶりに決勝に駒を進めた。決勝は14日、午後1時30分からエコパスタジアムで行われる。

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藤枝明誠MF賀茂が「いるはずのない」ゴール前で輝きを放った。0-0の後半9分。FKをDF増田七翔(ななと、2年)が頭でつないだボールに反応。1トラップから右足で流し込んだ。「(パスが)来ると思った。うまく流し込めて良かった」。貴重な先制点で自らも勢いに乗った。

FWばりの嗅覚は、これで終わらない。同18分。今度はシュートのこぼれ球を逃さなかった。相手GKがはじいたボールを豪快なダイビングヘッドで押し込み、追加点。今大会初得点を含む2得点で王者撃破の主役となった。「普段点を取る選手ではない。目に見える結果で貢献できて良かった」と、白い歯が光った。

進化を証明した。ボランチが定位置の賀茂は、これまで守備に重点を置いてきた。それでも、PK戦の末に辛勝した1回戦と準々決勝を終え、「クロスに入る人数が少なかったので、ゴール前に入ることを意識した」。大会期間中に決断した“マイナーチェンジ”が、最大のヤマ場でいきなり実を結んだ。

決勝は勢いに乗る東海大静岡翔洋と対戦。賀茂は「ゴールを取れる選手は価値がある。次も取りたい」と力強かった。4年ぶりの全国まであと1勝。大一番でも攻守でフル回転する。【前田和哉】