全日本高校女子サッカー選手権は来年1月3日から兵庫県を舞台に開催される。東北代表3校を「ピッチで輝く」と題し、今日22日から2日間で紹介。初代女王で日本一3度の聖和学園(宮城)は、東北第1代表で29大会連続29度目出場を決めた。今大会は初日に東海第3代表の神村学園高伊賀(三重)と対戦する。背番号「10」のMF渡辺琉那(るな、3年)は、父と兄弟が技巧派集団の静岡学園でプレーし、自身もチーム屈指のテクニシャンだ。元アルゼンチン代表のマラドーナの映像を見て育ったMF片岡花海(はなみ、1年)は期待の新星。2人のレフティーが優雅で唯一無二の「聖和スタイル」にアクセントを加える。【取材・構成=山田愛斗】

エースナンバーを背負う渡辺は「静学流英才教育」で個人技を磨いてきた。父力也さんと2歳上の長男玲音(れおん)さんは静岡学園OB。双子の弟怜歩(れある、3年)は在学中で前年度の全国選手権優勝メンバーだ。弟とともに「流れでやらされる環境で(笑い)、小さいころから選手権は静学を見てきたのもあって『足元を大事に』と教えられてきました」。父からの熱血指導は今につながる礎になっている。

技巧派がそろう聖和学園の中でも技術力、キレ味鋭いドリブルには自信を持つ。今季限りでINAC神戸を退団してイングランド女子リーグに移籍するFW岩渕真奈、ともに川崎Fで静岡学園OBのMF大島僚太、MF長谷川竜也と上背はないが、テクニックで打開するタイプの選手を参考にし「自分みたいに小柄でも技術力で大きい人、海外でも戦える選手になりたい」。身近な目標は「WEリーグのレベルで戦える選手になり、年代別の代表に選ばれること」と思い描く。

聖和学園は選手権で3年連続PK戦の末に初戦敗退。渡辺自身も前年度は途中出場15分のみで実力は示せていない。「ここ最近は1回戦で負けてるので、まずは1勝したい。自分の得点でチームに貢献できたらと思います」。技巧派サッカーの申し子がピッチで違いを見せる。