大学サッカーの全国大会「アタリマエニ杯」は10日、準々決勝2試合が行われ、今季からJ2京都サンガFCで監督復帰する曹貴裁氏(51)がコーチを務める流通経大(関東第1代表)が、法大(関東第7代表)に0-1で敗れた。これで曹氏の大学指導生活は終了した。

一方的に押し込まれた前半から一転、後半は同コーチの作戦でシステムを変更し反撃に転じたが1点が遠かった。曹氏は「最後(ゴールを)こじ開けられなかったが、今季は先制されても逆転するようになった。そこは大人になったところ。お疲れさまと言ってあげたい」とねぎらった。

19年に選手らへのパワハラ行為が認定され、湘南の監督を退任。S級指導者ライセンスの資格が1年間停止され、研修の一環で同大のコーチを務めてきた。練習場に足を踏み入れた当初は「ピッチに立っていいのか」と悩んだ日が続いたが、選手やスタッフのサッカーへの情熱に救われた。チームも関東2部から1部に昇格し、夏の関東大学トーナメント大会も優勝。この1年に「人の優しさをあらためて感じられた。そういう思いは一生涯忘れてはいけない」と自らに言い聞かせた。その上で「今後も大学サッカーのために何かできることをやっていきたい」。感謝の思いを胸に、プロの現場で再出発する。