新人だった昨季13得点を挙げ、ベストイレブンにも輝いた川崎フロンターレMF三笘薫(23)がシーズン初戦で2得点し、今季もJリーグの顔に名乗りを上げた。前半立て続けにゴールを重ね、昨季と変わらぬ千両役者ぶりを見せつけた。その後同点とされたが、後半ロスタイム6分に途中出場のFW小林悠(33)が劇的な決勝点を決め、3-2とG大阪を退けて今季最初のタイトルを獲得した。

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MF三笘の爽快なゴールでシーズンが幕を開けた。前半29分、左サイドをトップスピードで駆け抜けると、大外のMF田中からパスを受ける。勢いそのままにペナルティーエリアへ進入し、最後は豪快に右足を振り抜いた。

前半32分には、DF山根のクロスをゴール前で軽々と合わせた。終了間際のFW小林のゴールで競り勝ったものの、一時は同点とされた接戦で、価値ある2点は勝利を呼んだ。

昨季ルーキーでベストイレブンに選ばれて注目も高まる中、初戦からいきなり結果を出した。しかしまじめな三笘らしく「2失点には前線の責任もある」と、手応えより反省が漏れた。「そこまで(個人として)対策されている印象はなかった。1対1でもっと勝たないといけない。得点以外は何もできていない」。自分の置かれた状況と冷静に向き合った。

終盤に投入され、消耗度の違う相手に得点するパターンが多かった昨季、先発出場での得点は13点中5点のみだった。フレッシュな状態で出場して得点を奪うことと、先発でゴールを決めることは、少し意味が異なる。「今季は先発で出たい気持ちがあり、結果を残したかった」と、昨季の課題もクリアしつつある。

リードの状況で3点目を奪えず、流れの悪い時間帯に2失点したことは反省点だが、チームの仕上がりは順調だ。MF守田が抜けた中盤の底には、名古屋から加入したMFジョアン・シミッチが入り、スルーパスなど随所に持ち味を発揮。MF塚川、橘田も途中出場でデビューし、FW遠野は初戦で決勝点をアシストした。鬼木監督は「『チームのコンセプトの中で特徴を出してほしい』と言ってきた。今日出た選手は全員出してくれた」と手応えを口にした。精神的支柱だった中村の引退の影響も感じさせない。2年目のジンクスとは無縁の三笘とともに、川崎Fは今季も視界良好だ。【杉山理紗】

◆富士ゼロックス・スーパー杯 国内のシーズン到来を告げる恒例の大会。94年から始まり今年で28回目。富士ゼロックスの「富士フイルムビジネスイノベーション」への社名変更に伴い、現行大会名では今回が最後。賞金は勝者が3000万円、敗者が2000万円。今年は緊急事態宣言下で観客を5000人以下に制限し、4208人が来場した。