FC東京がもがいている。1日のホーム横浜戦に0-3で敗れ、リーグ4連敗。首位を走る川崎Fとの勝ち点差は20まで広がった。MF東慶悟主将は「1位を狙っている状況ではない。まずは次、連敗を切ること」と厳しい表情を浮かべた。

19年シーズンには強烈なプレスを軸にした堅守速攻を旗印に、リーグ初制覇まであと1歩のところまで迫った。今季、その堅守にほころびが見えている。リーグ戦は第12節までを終え、無失点は1度のみ。FW永井謙佑、FWディエゴ・オリヴェイラらが迫力満点の速攻で先制点を奪い、あとはゴールをがっちり閉ざす-。強さを発揮していたときの試合が今季はない。ただこれは、よりチームが強くなるための試行錯誤だ。

優勝候補の一角とされるが、昨夏には右SBのDF室屋成、ボランチMF橋本拳人と2人の日本代表が同時に抜けている。右SBには不運も続いている。東京五輪世代のDF中村帆高が4月3日の第7節名古屋戦で負傷し離脱。この日先発したMF内田宅哉も、開始わずか1分で負傷交代した。ルーキーDF蓮川壮大が本職のCBでないポジションで急きょ出場も、流れは変えられず。がっくりとうなだれてピッチをあとにし「自分が勝たせたいと思って入ってこの結果。あらためてふがいなさ、足りない部分が見えた」と悔しさをにじませた。

絶対的主力が抜けた中、長谷川健太監督は挑戦的にチームに変化を加えている。昨季の終盤から不動のCBだったDF森重真人をアンカーに上げ、球際の強さと高いフィード力をより攻撃に生かそうと試みている。最終ラインの安定感が下がるリスクも受け入れ、この日もボランチで先発させた。「選手を見たときに最も力を出せると考えられる形」と、4-3-3も採用を続け、得点機は数多く作っている。

森重をCBにし、陣形を慣れ親しんだ4-4-2に戻して試合をスタートするだけでも安定感は出るだろう。ただそれだけでは、優勝には手が届かないことを経験した。CBには、今季の補強の目玉ながらコロナ禍で合流が遅れていたDFブルーノウヴィニが4月28日のルヴァン杯徳島戦でやっと公式戦デビューした。昨季の得点源だったFWレアンドロも、シーズン開幕はコンディション調整が出遅れたが状態が上向いている。我慢の時を全員で乗り越え、ふたたび連勝街道に入りたい。【岡崎悠利】