ヴィッセル神戸の主将MFアンドレス・イニエスタ(37)が、自身が出場した公式戦では2戦連続のゴールを決めた。神戸を2試合ぶりの勝利に導く値千金の決勝PKだった。

この試合では後半33分、イニエスタが出した浮き球のパスがDF酒井に通り、酒井のクロスが相手ハンドの反則を誘った。主将はそのままPKを蹴り、同35分の決勝点となった。J1では今季初ゴール。昨年10月10日柏レイソル戦以来、約8カ月ぶりの得点だ。

試合後のインタビューでは、この日のPKはもちろん、13日のルヴァン杯プレーオフステージ第2戦の浦和レッズ戦で、今季公式戦初ゴールとなった芸術的直接FKのことを聞かれ、上機嫌で振り返った。

「プロでは記憶が定かでないが…(直接FKとしては)初ゴールかもしれないし、もしかして決めていたかも分からない。ユースでは確実に決めた記憶あるんですが…」と苦笑い。

ただ、昨年12月に右太ももを手術し、5月に戦列復帰したばかり。この日の福岡戦が今季公式戦10試合目。プレー時間が長くなるにつれ、試合感覚はベストに戻ってきた。

「(直接FKの得点が)無事に決まって、その流れで今日のPKも決められる自信があった」と、世界のスーパースターはあの芸術弾で自身に勢いが出たことを明かした。

アビスパ福岡長谷部監督は自軍の敗因に、イニエスタのプレーを挙げた。「自分たちが悪かったというより、神戸が(後半から)少し修正して、8番の選手(イニエスタ)がパスを受ける側から、出す側に回っていたようにも見えた。それが、前半ほど自分たちがボールを運べなかったところかなと思う」。

試合前は5位福岡、6位神戸だったが、試合後は神戸が5位に浮上、福岡は7位に転落。来季のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得へ、イニエスタの完全復調で神戸の視界は良好となった。【横田和幸】