「稲本2世」がクラブ史上最速でトップ昇格を決めた。G大阪は10日、ユース所属の高校2年生でU―17日本代表MF家長昭博(16)のトップ昇格を正式発表した。フルハムMF稲本潤一(23)より2カ月早い昇格で、年内にJデビューすれば17歳6カ月25日の稲本を超える記録となる。各年代で代表入りを果たし、高2に進級した今春から通信制の高校に転入。稲本と全く同じプロ養成コースを歩んで世界進出を目指す。MF寺田紳一(17)FW三木良太(17)の高3生もトップ昇格となった。

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G大阪ユース出身の大先輩、稲本を超えるスーパー高校生が誕生した。トップ昇格が正式決定した家長はこの日、大阪・吹田市の事務所で「上でやりたいと思っていた。将来は海外でプレーするためにも今、頑張るしかない」と語った。Jリーグにはアマ選手で登録し、背番号「37」に決定した。年俸こそ出ないが最高の環境を手に入れた。

稲本でさえトップ昇格は高2の6月。家長は高1だった昨夏にもトップに体験合流したが、今回の正式昇格は稲本より2カ月早い実現。仮に年内Jデビューすれば、稲本が高3当時樹立した17歳6カ月25日のJ記録(現在6位)を抜く。今春から稲本も通った通信制の向陽台高に転入。U―15日本代表から各年代の日の丸をつける経歴や、トップ下とボランチ、アウトサイドをこなすMFとしての柔軟性、さらに甘いマスクまで共通点が多い。

最も違うのは家長が左利きであり、16歳の時点で速さ、技術、戦術理解度を含めた総合力で超高校級に達している点。西野監督は「大丈夫と判断すればトップの試合に使ってみたい」と話す。当面は週末はユースの公式戦に出場するが、基本的にプロチームに交じって育成される。

「稲本さんとは立場が違うので意識したことはないが、いつもすごいなと感心している」。チーム合流は1学年上の寺田、三木が15日に、家長はU―17日本代表オーストリア遠征のため29日を予定。「高校生の間に、できればトップ下で試合に出たい」。稲本2世が、ついに本格スタートを切った。【横田和幸】

◆稲本のトップ昇格 大阪・堺上高2年時の1996年(平8)6月にユースからトップ昇格。同年8月の親善試合ニューカッスル(英)戦で実戦デビュー。翌97年の高3進級時に向陽台高に転入し、4月12日のJリーグ平塚戦で当時のJ最年少出場記録を達成。その年は27試合3得点で完全にレギュラーを確保。同期のMF新井場は高3からトップに昇格している。ユース在籍中のトップ昇格は今回の家長でG大阪史上3人目。