北海道コンサドーレ札幌は浦和レッズに2-1で勝利した。東京五輪によるリーグ中断明け初戦で白星を飾った。J1通算100試合目の出場のMF深井一希(26)が前半8分、先制ゴールを決めてメモリアルゲームを飾った。後半13分、FW小柏剛(23)が追加点を挙げ、同21分に失点するも逃げ切った。

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深井が跳んだ。前半8分、右CKの場面だった。ボールの軌道を確認しながら飛び込み、高さのあるヘディングシュートでゴールへ突き刺した。笑顔いっぱいで駆け寄ったMF宮沢やチャナティップらからの祝福のハイタッチに喜びいっぱい。「ボールが良かったので当てるだけだった」と、キッカーのDF福森に感謝していた。立ち上がりの先制にチームは活気づいた。

J1通算100試合目の記念すべき試合で2季ぶりのリーグ戦での得点を挙げる勝負強さ。札幌U-18から13年にトップ昇格し、プロ9年目での達成だ。キャリアは決して順風満帆ではない。プロ入り後、両膝を5度手術している。自身初のJ1は17年から。そのシーズン、開幕から5戦目でケガして1年を棒に振った。「ケガと付き合っていくのが僕のサッカー人生」と受け止め、焦らず積み上げてきた。18年に就任したペトロビッチ監督は、深井に合った調整を優先させて、起用を続ける。そんな指揮官の期待に応える。

責任感がより高まった出来事があった。3月3日のルヴァン杯福岡戦で、ゲームキャプテンを務めた。自身は一緒に先発だったベテランMF小野に任せようと考えていたが、周囲の勧めもあって自分が務めることになった。「本来なら自分から進んでやるべき」と反省した。チーム内では、もう若手ではなく中堅の立ち位置だ。「もうそういう年齢。チームを引っ張っていかないといけない」と覚悟を決め、集中する。

Jリーグが再開し、シーズン後半戦がスタートした。チームは好発進。本拠地札幌ドームでの勝利は5月22日清水戦以来だ。サポーターの喜ぶ姿を見て、深井は目標をあらためて掲げた。「ACLって目標がチームにはある。1つ1つ勝っていけたら。北海道全体で盛り上がっていけたら」。上位3チーム入りへの前進を誓っていた。【保坂果那】

○…FW小柏が今季3点目で勝利に導いた。1-0の後半13分、MFチャナティップが前線に送ったパスに反応した。浦和DF槙野と競り合い、左足シュートに持ち込み、ゴール右へ流し込んだ。東京五輪のサッカーの会場として使用されたチームの本拠地、札幌ドームでは自身初の得点。4強入りした日本に、五輪世代として「僕も目指していた場所ではあった。もっとやらなきゃなと刺激になった」。悔しさを原動力に変えていた。

▽3試合ぶり勝利を挙げたペトロビッチ監督(63) 「立ち上がりから最後まで素晴らしいサッカーを見せてくれた。今日のようなゲームを毎試合繰り返すことができたら、もっと上の順位にいける」