東日本大震災から11年となる11日、岩手・釜石市出身のヴィッセル神戸DF菊池流帆(25)がJ1リーグ戦の鹿島アントラーズ戦(ノエスタ)に臨む。プロ4年目で3・11に試合を行うのは初めて。

10日にオンライン取材に応じた菊池は「本当に運命、巡り合わせと思う。(自分が)得点どうこうより、体を張って、勝利に貢献できるのが一番」と必勝を誓った。

釜石中2年時に震災に遭遇し、練習グラウンドには仮設住宅が建つなど生活が一変した。その後、青森山田、大体大、J2レノファ山口FCを経て19年に神戸移籍。1対1に強く、闘志あふれるセンターバックとして、昨季は37試合に出場するなど、Jリーグを代表する選手になった。

自身の立場や影響力も理解し、今季から本拠地のシーズンシートを購入し、ファンを各試合に招待することになった。その1発目が今回の鹿島戦。応募条件は「東北を愛する方」だった。開幕前からコンディション不良が続き、今季初出場が前節6日のサンフレッチェ広島戦。鹿島戦でより万全の姿が見せられそうだ。

「招待することで神戸を好きになって、どんどん応援してもらいたい。その試合が(見る人の)人生を変えるくらい。自分は全力を見せるだけ。試合に出ると地元(故郷)の人たちも喜んでくれているし、もっと大きな選手になりたい」

今季2度目の無失点試合を目指すと同時に、昨季5得点したように相手ゴール前での勝負強さも発揮したい。「東北に元気を与えたい」という菊池が、開幕から5戦未勝利(3分け2敗)で苦しむ神戸の救世主にもなる。

◆菊池流帆(きくち・りゅうほ)1996年(平8)12月9日、岩手県生まれ。FC釜石U-15、青森山田、大体大、J2山口を経て神戸入り。昨季のJ1は37試合5得点と大活躍。元ブラジル代表DFダビド・ルイスを尊敬し、自身の愛称も「ダビドリューホ」。推定年俸3000万円。188センチ、80キロ。