今季初のホーム2連勝だ! 15位に沈むヴァンラーレ八戸が福島ユナイテッドFCとの「東北ダービー」に1-0で勝利。0-0で迎えた後半44分、MF佐藤碧(24)が左足で値千金の決勝ゴールを流し込んだ。前節19日、長野戦から指揮を執る志垣良新監督(42)にとっては、ホーム初陣で記念すべき初勝利を刻んだ。今季は4勝1分け9敗。勝ち点「13」と苦しい戦いが続いているが、新指揮官のもと「巻き返しの夏」にする。

晴れ渡った空に向かって、志垣新監督が両こぶしを突き上げた。ロスタイムも残りわずか。腕時計に何度か目をやる。初勝利の瞬間を今か今かと待ちわびる。スコアは1点差。ついに試合終了のホイッスルが鳴り響いた。前節長野戦から2戦目で手にした勝ち点「3」。首脳陣と抱き合い、勝利の味をかみしめた。「ホーム戦の前に(志垣新監督の)横断幕をつくってくれたり、青森の人が温かく迎えてくれた。良い雰囲気の中、サポーターに勝利を届けることができてうれしい」。

土壇場で勝利の立役者が生まれた。後半から途中出場した佐藤だ。ドローで終わると思われた同44分。ペナルティーエリア手前でパスをもらうと、相手DFを1人かわす。最後は左足を振り抜き、ゴール左へと流し込んだ。待望の1点をもぎ取り、福島との「東北ダービー」にけりをつけた。「ボールをもらってから、素早く攻撃に移ることを意識していた。自信になるゴールになった」

立ち上がりから1点が遠かった。前半9分。相手DFがレッドカードで一発退場。数的有利で戦うも、前半は無得点。決定機すらなかなかつくれない時間帯が続いた。志垣新監督は「ゴール前の精度であったり、崩しは今後の課題」と冷静に受け止めた。佐藤は「攻撃が停滞していた。自分が入って活性化させようと思った。個人的に3試合(チームに)絡めていなかった。その悔しさをぶつけることができた」と鬱憤(うっぷん)を晴らした。

「J2昇格」を狙う今季は4勝1分け9敗で15位と現状は厳しい。新指揮官は「アクションを起こして、受け身にならず、積極的に躍動していきたい」。次節は7月2日、アウェーで松本と対戦する。「逆襲の夏」へ-。失敗を恐れず、上位進出を目指す。【佐藤究】

福島服部年宏監督(八戸に競り負け、5戦勝ちなし)「試合開始10分で退場者を出してしまって痛かったですけど、選手はしっかり戦ってくれた。ここずっと点が取れていないので修正していきたい。選手個々のパフォーマンスは悪くなかった」