鹿島アントラーズの新指揮官に就任した岩政大樹監督(40)が9日、オンライン取材に応じ、現状に危機感をあらわにした。現在のチーム状況を「サッカー的には、今の順位以上にいろんなものが壊れている状態」と深刻にとらえた。「選手が自信を持って、流れが悪いときにも、帰る場所を認識させないと、みんな迷子の中でサッカーをしてしまう。そこに整理をつけることが一番」と新たなベース構築へ意欲を見せた。

今季はバイラー前監督が、新型コロナウイルスの防疫対策で来日が遅れる中、代行として開幕からリーグ5試合を指揮した。今後のサッカーについて「代行の時がベース。加えてレネ監督が植え付けたものを加えた形になる」と説明。同時に、ここ10年のJリーグはサンフレッチェ広島はペトロビッチ監督(現札幌監督)、川崎フロンターレは風間八宏氏、横浜F・マリノスはポステコグルー監督(現セルティック監督)がチームのベースを作り、その後にタイトルを獲得していることを挙げ、クラブのベースづくりの重要性を強調した。

「(鹿島は)強度と個性がキーワード。鹿島らしさは熱量がこもったサッカー。個性、瞬間的なアイデア、感情が重なり合うとどういうサッカーになるか、具体的につくりあげていく」とイメージを掲げる。「以前のように選手に任せたままで戦っていても勝てない時代。それが鹿島が直面している課題。優勝できる選手をそろえているが勝てなかった。僕自身はなれるか分からないが、チャレンジする。この10年、続ければ勝ち続けられるサッカーに持って行けることを見つけていきながら、勝ちにつなげていければ」と長期的な視野での再構築を誓った。

補強については「基本的に僕の考えは、現有戦力、いまいるスタッフ選手がまず、ここのクラブで仕事をすることに喜びを感じる環境が整えば、もっと力が発揮できる。僕からはリクエストはしていない」とキッパリ。コーチ陣に関しては、岩政監督主導で招聘(しょうへい)に動いており「来年続投となれば、(強化部に)こういう人がほしいと伝えている。段階を追って伝えている状態」と話した。

鹿島は勝ち続けることを求められるチームだ。だが、ベース構築のためには、痛みを伴うことも事実だ。鹿島の吉岡宗重フットボールディレクターも、勝利が重要としながらも、内容の積み上げを考慮することも明言している。岩政監督が、新生・常勝鹿島構築へ動き始めた。

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