FC東京がMF安部柊斗(24)のミドル弾で鹿島アントラーズに競り勝った。後半39分にリードを奪うと、東京のアルベル監督は、後半42分に日本代表の欧州遠征から戻ったばかりのDF長友佑都(36)を“クローザー”として投入。システムを5バックに変更し、1点を守り抜いた。

試合後、アルベル監督は「長友は、2日前に日本に戻ってきたばかりだったが、経験と彼の賢さをもって、彼がピッチに立ち、試合結果を守り終わらせてくれた。彼の難しい状況での貢献こそが彼が偉大な選手の証。若い選手は長友から多くのものを学んでほしいと思います」と称賛。そこから長友の偉大さについて熱弁を振るった。

まず「数字」を挙げた。セリエAインテル・ミラノで約7年半にわたり170試合に出場したこと、4度目のワールドカップ(W杯)出場が間近に迫っていることを強調。「欧州のトップレベルのインテルで所属するだけでなく、プレーし続けることがどれだけ難しいかは、多くの方々は理解しなくてはいけない。世界を見ても4度のW杯が、どれぐらい難しいかご理解いただけると思う」と話した。

続けて、長友の人間性にも触れた。今季はじめ、アルベル監督は、長友に主戦場の左サイドバックではなく右サイドバックでの起用を考えていることを伝えた。その際「中のゾーンでのプレーをサイドバックとして求める。それを教えるし、学んでほしい」とも要求したという。

アルベル監督は「最も、驚かされることは、彼の反応です。彼のような年齢で経験を重ねた選手であれば、監督からそのような指摘をされた場合、オレに何を教えることがあるんだ、オレこそがお前にサッカーを教えてやる、と思うような選手もいるのではないでしょうか。でも、彼はそのような横柄の態度を取らずに別の形で対応しました」と振り返った。実際、長友は右サイドで出場し、プレー面でも新たな引き出しを収得すべく、飽くなき努力を続けチームに貢献している。この日も、投入されて入ったポジションは、右のウイングバックだった。

アルベル監督は「偉大な選手になるためには2つの要素が必要」と指摘した。1つは、勝負にこだわる強いメンタリティー。もう1つは継続して学ぶ意欲、それを持ち続けること。「長友は、その2つの要素を持ち合わせている」と称賛した。続けて「それは、サッカー選手だけでなく、人生でもとても重要だと思います。サッカーと人生は私はつながっていると思います。サッカーで必要なことは、人生でも大切なこと」と人生観にまで話が及び、最後に「長友佑都は本当に素晴らしい人物です」と締めくくった。