サッカーJ1鹿島アントラーズの新シーズンが6日、鹿嶋市内の練習場で始動した。5年ぶりに復帰したDF昌子源(30)とDF植田直通(28)ら、今季の新戦力も含め、約30人がピッチで練習。鹿島のタイトルを経験している昌子と植田は、初日ながらも、ボール回しの練習では速い出足と迫力ある球際で強度を発揮した。バチバチした緊張感ある鹿島らしいトレーニングが繰り広げられた。

約1時間の練習後、岩政大樹監督(40)がオンライン取材に応じ、復帰した昌子と植田へ期待を寄せ、タイトル奪還を掲げた。2人の復帰が決定後、「新しい鹿島をつくる、と言っているが戻るのか」とささやかれた。岩政監督は「そこは完全に論点が違う」と言い切り、こう続けた。

「僕らは若いとき、鹿島を体現する選手が先輩にいて、その先輩とプレーして、自分と先輩を照らし合わせながら追い付け追い越せで成長していった。新しい鹿島をつくるにあたって、鹿島はどういうものかを知らずに、何を持って成長すればいいか分からない。そういう面では、昌子、植田が帰ってきて、そこに個性のある若手がたくさん入ってきた」。

鹿島は18年のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)の優勝を最後にタイトルから遠ざかる。タイトルを経験した選手も少なくなった。再び、常勝を取り戻すためにも、昌子と植田の存在は大きい。指揮官も、鹿島について「楽しさと厳しさが同居している場所」とし「鹿島でもともと、先輩を見て育った昌子、植田が入り、個性を持った若手がたくさん集まった。練習の空気も昨年と違うものがあったと思う。少し、鹿島らしい空気感がまたあったような気がします」と鹿島本来の厳しい練習の質を引き上げる存在としての役割に期待を寄せた。

今季は若手も多く、現時点では34人の編成。チーム内競争も激しい。昨季同様、ボールを持っているときも持っていないときもゲームを支配するサッカーを掲げる。「開幕の時点で、一番の力を持つことは恐らくない。川崎、マリノスが抜けている状態」と現実を見据えながらも「そこに、僕たちも含めたチームが距離を縮めていくシーズンになる。開幕をどういう状態でスタートし、どういう状態で前半で勝ち点を稼ぎ、後半に優勝まで持って行くことを描きながらやっていく。絵はできている。最終的には一番高いところに立ってシーズンを終わりたい」とタイトル奪還を掲げた。