成長した姿を-。今季新加入のJ2ベガルタ仙台MF郷家友太(23)が「恩返し弾」を狙う。2日、宮崎・延岡キャンプは7日目に突入。この日はランニングなど軽めのメニューを消化。開幕戦(19日)で激突するFC町田ゼルビアの新指揮官、黒田剛監督(52)は、青森山田出身の郷家にとって恩師であり、特別な存在。ピッチ上での再会を今から心待ちにしている。「2桁得点」を目標に掲げた郷家がJ1昇格の使者となる。

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高校時代の恩師が、J1昇格を争うライバルクラブの敵将になった。郷家が、率直な心境を明かす。

「今までは味方でやってきましたし、卒業してからも毎年会って、近況報告はしていた。対戦相手になる形になって、不思議な感じがします」

黒田監督の下、高校3年間を過ごした。中学時代は仙台ジュニアユースに在籍するも「高校サッカーで活躍できれば、プロでの選択肢も広がると思った」と中3の秋に青森山田中へ転校。あえて厳しい環境下に身を置き、技術はもちろん、精神的なタフさ、人間性の部分でも大きく成長を遂げた。「高校3年間がすごく大きかったと思う。人として選手としても成長できた。自分自身に対して、チームに対しても厳しくあるのが青森山田。その中での競争意識であったり、走り込みがあったからこその成長だった」。まさにターニングポイントだった。

当時の記憶は今でも鮮明に残る。中でも高2冬の全国選手権決勝。キックオフ前の黒田監督の言葉が、一番印象深かったという。郷家は「『目をつむれ』って言われて『自分が青森山田の門をたたいた時のことを思い出せ』と言われて、奮い立たせてもらったことを、今でも覚えている」となつかしんだ。「たまに戻りたいなと思うこともある」と笑みを浮かべた。

生まれ故郷で再出発した。宮城・多賀城市出身。前所属のJ1神戸で5年間プレー。リーグ通算108試合出場の実績を引っさげて、9年ぶりに“帰仙”した。年間目標を問われると「2桁得点」ときっぱり。ゴールにこだわり、「J1昇格」の一翼を担っていく。【佐藤究】