今季初の「静岡ダービー」で明暗が分かれた。J2の清水エスパルスとジュビロ磐田は4日、鹿児島キャンプで練習試合(45分×4本)を行い、清水が3-1で勝利した。キャンプ中からトライした3バックの新布陣でFWディサロ燦シルヴァーノ(26)が2得点。昨季J1得点王のFWチアゴ・サンタナ(30)も1得点し、攻守でライバルを圧倒した。磐田は攻撃の策を見いだせず、課題を残す実戦になった。【神谷亮磨】

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清水の完勝だった。現時点での主力組は1、2本目に出場。1本目は3バックの新布陣で臨んだ。同21分、PKでディサロが先制点。「平常心で蹴ることができた」と、冷静にゴール左隅に流し込んだ。29分にも前線からの連動した守備でボールを奪い、右足で追加点。理想の形で突き放した。最終ラインからの組み立てには課題を残すも、1本目は2-0。ディサロは「全ての部分で相手を上回っていた」と胸を張った。

2本目は4バックに変更。昨季からの戦い慣れた布陣に戻した。ゼ・リカルド監督(51)は「4バックでも攻撃のテンポを出すことができた」。押し込まれる時間も粘り強くはね返すと、同43分にはサンタナがダメ押しの3点目。チームの武器でもあるカウンターで勝負を決めた。

キャンプでのテーマはチーム戦術の成熟。守備では前線からのハイプレスを新たに取り入れ、3バックの新布陣もテストした。主将のDF鈴木義宣(30)は「まだまだ改善点はあるけれど、3バックもいい場面が多かったと思う」。試合内容を重視した一戦で結果も伴い、自信を深めた。

キャンプ中の実戦はJ2熊本と磐田に連勝。戦い方の幅を広げることにも成功した。チームは2日間のオフを挟み、18日の水戸との開幕戦に向けて再始動する。指揮官は「今日はどちらのシステムも狙いをしっかりと表現できていた。開幕までに最高の状態に持っていく」と力強く話した。今季の目標は「J1仕様」のチームに成長して昇格すること。充実したキャンプを打ち上げた清水が、約2週間後に迫った今季初陣に向けて総仕上げに入る。

■サンタナ誕生日弾

絶対的エースが自ら祝砲を放った。この日30歳の誕生日を迎えたサンタナは2本目から出場。体の強さを生かしたプレーで起点を作ると、ワンチャンスを確実に仕留めた。同43分、自陣からのロングボールに抜け出すと、左足でネットを揺らした。キャンプ序盤は別メニュー調整だったが、復帰戦で1得点。復調をアピールした助っ人は「開幕前の準備の段階で点を取れたことは自信になる」と声を弾ませた。