いわきFCは青森山田前指揮官の黒田剛監督(52)率いるFC町田ゼルビアに3連勝を阻まれた。

決定機は相手よりも多かったが、後半42分にワンチャンスをものにされて0-1で惜敗。12日仙台戦、19日徳島戦に続く勝利はならなかった。同校出身でともに先発したDF嵯峨理久(24)、MF山下優人(26)にとっては、恩師との公式戦初対決で悔しい結末となった。

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いわきは最後の最後で均衡を破られた。0-0の後半42分、左クロスからのヘディングをGK高木和徹(27)が1度はセーブも、こぼれ球を押し込まれて失点。それ以外はほとんど危ない場面はなく、終始互角に戦った。村主博正監督(46)は「選手たちは本当に一生懸命やってくれた。交代枠を残しつつも選手を助けられなかったのが敗因。僕のミスです」と総括。「十分、選手たちはJ2の舞台で戦っていけるのを証明してくれた」とたたえた。

試合前、青森山田出身の嵯峨と山下は黒田監督にあいさつし、「勝って恩返しすることは考えないでいい」と笑顔で忠告されたという。前半9分、その言葉に発奮した嵯峨は、右サイドでMF加瀬直輝(22)とのパス交換からペナルティーエリアに進入。角度のないところからニアに惜しいシュートを放つなど攻撃の起点に。だが、ゴールやアシストで勝利に導けず、「とにかく悔しい」と話した。

嵯峨は恩師に脱帽した。「(町田は)ワンチャンスで沈める黒田監督の勝負強さが浸透している。素晴らしい監督だなとあらためて感じた」。次戦は4月2日に岡山と対戦。「クオリティーを高め、ゴールやアシストにつなげられるようにやっていきたい」。今度こそ自らの活躍で勝ち点3をもたらす。【山田愛斗】

 

○…「黒田マジック」がさく裂し、町田が16年以来7年ぶりの5連勝を決めた。0-0の後半42分、MF黒川淳史(25)が投入からわずか2分で決勝点。自ら放ったヘディングのこぼれ球を右足で蹴り込んだ。試合を通してシュート5本と苦戦も、したたかに勝ち点3を獲得。首位に再浮上した。黒田監督は「悪い時間帯もあったが、粘り強く1人1人が対応して前半を0で抑え、後半のいい流れに結びついた」と振り返った。

前節19日の山形戦に続く東北凱旋(がいせん)だった。青森山田で常勝軍団を築いただけに「東北でやる試合は特別。『青森山田をけん引していた黒田は強かった』と言われるような、東北ではそういった形で結果を残し続けたい」。対戦した教え子の嵯峨、山下については「予想どおり相手にしたら、すごく嫌だなという印象だった。こういう場面で出会えることに感謝したい」と力を込めた。