ブラウブリッツ秋田といわきFCの「東北ダービー」は、秋田がいわきに1-0で勝利し、Jリーグの先輩の貫禄を見せつけた。

後半35分、PKをFW吉田伊吹(25)が一度はセーブされたが、そのこぼれ球を吉田が自ら押し込み、決勝ゴール。秋田は3月12日の第4節千葉戦で3連勝を飾って以来、約2カ月ぶりの連勝。プレーオフ圏内の6位に浮上した。いわきは、前節清水戦の1-9の大敗を吹き飛ばすファイトで接戦を演じたが、無念の5連敗。中2日で迎える17日大宮戦で最下位脱出を図る。

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“先輩”の意地を見せた。秋田は14~20年のJ3を経て21年からJ2に参戦。今年でJリーグ参入10年目を迎えた。いわきは昨年度加入したJ3を1年目で優勝。最速でJ2に昇格した、いわばエリート。敵地での「東北ダービー」だったが、先輩としてJリーグ30周年のダービーで負けるわけにはいかなかった。

試合は序盤からチームのプライドがぶつかりあう激しい球際の応酬。前半14分にはいわきMF諸岡裕人(26)が負傷退場するなど消耗戦となった。そして後半31分、MF藤山智史(29)がペナルティーエリア内で倒されPKの判定。吉田がPKを1度はセーブされたものの、こぼれ球を冷静に流し込み1-0。今季初得点が2連勝を呼ぶゴールとなった吉田は「(PKを)1度外して焦ったが、いいところに転がってきてくれた。ダービーで絶対に負けられないと気合が入っていた」と振り返った。ゴールをお膳立てした藤山は、前節7日栃木戦でも相手のファウルを誘い、FW青木翔大(32)のPKを演出。2試合連続での好アシスト? に藤山は「自分がPKを蹴りたい気持ちもあったが、体が痛くてそれどころではなくて…(笑い)。(吉田)伊吹選手が決めてくれて良かった。チームは2連勝で大きいですが、気持ちは次(17日ホーム甲府戦)に向かっています」と前を見据えた。

チームはこれで5月に入って2勝1分け。通算7勝4敗4分けとし、プレーオフ圏内の6位に再び浮上した。ダービーを制して勢いに乗る秋田が群雄割拠のJ2戦線をかき回す。【浦部歩】

○…いわきは前節清水戦から5人を入れ替えて臨み、システムも変更。それが功奏し、前半は無失点。だが、後半31分に悲劇が待っていた。DF嵯峨理久(24)がペナルティーエリア内のファウルで一発退場。PKを1度はGK高木和徹(28)がセーブしたが、ねじこまれて0-1。その後の10人での攻撃もなすすべなく5連敗。村主博正監督(46)は「(大敗した)清水戦から約束事を再確認して徹底。秋田さんのやりたいことをやらせないことを心掛けた。勝つのが一番の薬。現状はうまくいっていないが下を向かずにトライしていきたい」と次節大宮戦での勝利を目指す。