ヴィッセル神戸の主将で元スペイン代表のMFアンドレス・イニエスタ(39)が25日、神戸市内で記者会見を開き、今夏限りでの退団を正式に表明した。現役は続行する。

6月6日、国立でのバルセロナとの親善試合に出場し、神戸での最終戦は7月1日のJ1リーグ、北海道コンサドーレ札幌戦(ノエスタ)に決まった。

この日、黒色のTシャツ姿で会見に臨んだイニエスタは、何度も感謝の思いを述べ、涙ぐむ場面もあった。主なあいさつと、一問一答は次の通り。

 

イニエスタ 5年前、自分の人生の中でも最も重要な決断の1つをした。バルセロナを退団し、家族とともに遠く離れた地で、新たな冒険を始めるという決断です。スペインの外での初めての生活。あの決断をとったことに対して、大きな喜びと誇りの感情が湧き起こってくる。

日本に、神戸に来たことは、自分の人生の中でとった最高の決断の1つであり、これからもそうあり続けるでしょう。

自分はここで引退する姿を想像してきたが、時に物事は希望や願望通りいかないもの。まだまだプレーを続け、ピッチで闘い続けたい思いはある。それぞれの歩む道が分かれ始め、(吉田)監督の優先順位も違うところにあると感じ始めた。ただ、それが自分に与えられた現実であり、リスペクトを持って現実を受け入れた。最終的には競技面での現実と、自分がプレーし続けることに対して、感じている情熱を掛け合わせた結果、ここを去ることがベストな決断だと、クラブとの話し合いの中で決めた。

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-改めて今の気持ちは

 

イニエスタ 自分がここに来た時に目標としていた、より大きなチームに成長させることをみんなで達成できたと思う。みなさんへ感謝の気持ちが一番、心に残っている。

-7月1日の最終戦へ、サポーターへの思いは

イニエスタ もう感謝の言葉しかない。彼らがチームに対して感じている愛情は、いい時も悪い時も無条件で示してくれた。彼らの力がなければ、難しい局面は乗り越えられなかった。同時に彼らが今まで経験してこられなかったタイトルや、何かを勝ち取る喜びを、みなさんに提供できたのは自分にとって誇り。感謝の気持ちでいっぱいだ。

-今後について

イニエスタ 正直いうと、自分もまだ分からない。まずはここでしっかり時間をまっとうし、そこからどんな可能性が出てくるか、いつ扉が開かれるか見てみたい。自分としてはサッカーを続けたいし、ピッチでプレーしながら選手で引退したいのが強い。ここでは難しい状況の中で、そういった形で引退できる、そういう場所を見つけたいし、努力をしたい。

-5年間で最も思い出に残る試合、場面は

イニエスタ 1つだけ選ぶのは難しいが、あえて言えば初めて掲げた(19年度)天皇杯のタイトル。それ以外では、神戸でデビューした試合(18年7月22日湘南戦)、初ゴール(22年8月11日磐田戦)もどれも特別な思い出に残っている。けがや成績がふるわない時も、苦い思い出として残りつつも、自分をよりよい人間に成長させてくれた。すべての過程が特別だった。

-Jリーグの未来は

イニエスタ ポジティブなことしか思い浮かばない。今後も成長を続け、世界のリーグについて考える時に、頭に浮かぶ1つのリーグになってくれればと思うし、自分が常にベストコンディションで挑み続けるように要求される環境で本当に感謝しているし、よかったと思う。