ポルトガル2部オリベイレンセ所属の56歳FW三浦知良(カズ)の父、納谷宣雄(なや・のぶお)さんが8日、静岡市内で死去した。81歳だった。

長年にわたり、肝臓や膵臓(すいぞう)の治療を受けていた。関係者によると、8月は普通に会話もできて元気な様子だったが、9月に入り容体が急変した。カズが昨年、兄の泰年氏が監督を務めるJFLの鈴鹿でプレーしていた時も、三重や静岡の会場で観戦していた。

納谷さんは実業家として日本とブラジルを行き来した。カズが静岡学園高を1年で中退し、ブラジルを目指したのも70年W杯メキシコ大会のブラジル代表の映像を持ち帰って見せたことから。その決断を後押しし、サポートを続けた。ブラジルから装飾ひも「ミサンガ」を日本に持ち込み、1980年代後半から大流行させたことでも知られる。

ポルトガル滞在中のカズは間もなく日本に帰国し、父と対面する予定。50代半ばを迎えてもピッチに立ち続ける息子に対し「毎年、来年あたりは終わりじゃないかと思って今になっちゃったけど。周りのおかげでやれている。あいつは幸せだよ」と目を細めていた。唯一無二のキング・カズ、その一番の理解者だった。