H組のJ2甲府が敵地でブリラム(タイ)に3-2で勝ち、J2勢で史上初となる決勝トーナメント(T)進出を決めた。3勝2分け1敗の勝ち点11。FWピーター・ウタカ(39)の2得点などで逃げ切った後、得失点差で並んでいた2位メルボルンC(オーストラリア)が浙江(中国)と1-1で引き分けてH組首位が決まった。既に1次リーグを首位突破していたI組の川崎Fは、蔚山(韓国)とアウェーで2-2と引き分けて5勝1分けとした。

気温30度超の蒸し暑いアウェーで、J2の甲府が苦しみながら歴史を変えた。3-2で逃げ切ると、しばらくしてスタンドから歓声が湧き起こる。結果速報を気にしていたサポーターから、勝ち点8で並んでいた2位メルボルンCが浙江と引き分けた吉報がもたらされた。各国を通じACLで初めて2部クラブが1次リーグを突破し、篠田監督は「日本を代表して走ってくれた」と選手を称賛した。

ヒヤヒヤだった。前半はMF長谷川の先制弾にFWウタカの2発で3-0。ところが、後半はロングボールを多用され、開始早々の3分に失点した。10分にはハンドでPKを献上し、一気に1点差まで詰め寄られる。篠田監督は流れを変えるため、後半14分にDF蓮川を投じて4バックから3バックに変えた。猛攻にピンチの連続も、はね返してゴールを割らせなかった。

リーグ戦では悲劇的な幕切れを経験していた。J1プレーオフ圏内の6位で迎えた11月12日の最終節山形戦。後半ロスタイムに失点して8位に転落した。4日間のオフで切り替えてACLへ。同29日のホーム国立競技場でのメルボルンC戦は、試合勘が戻らない中だったが、土壇場で追いつき勝ち点1を手にした。MF鳥海は「リーグ戦は敵地で負けたけど、ACLでは敵地で笑って終わりたい」とブリラム戦へ誓っていた。

この日は繰り返さなかった。ウタカは「最高。サポーターの歓声で、首位で次に進めると確信した」。甲府からは500人を超えるサポーターが集結。J2各クラブの応援団にも後押しされて1次リーグを首位通過した。篠田監督は「また新たな歴史が生まれる。できると信じている」。23年を手応えで締めくくった。

【ACL】甲府、J2勢史上初の決勝トーナメント進出 敵地でブリラム下す/ライブ速報詳細

【動画】CKから中村がそらしたボールにファーサイドのピーター・ウタカが押し込み3点目