ホーム開幕のいわきFCはファジアーノ岡山FCに1-1の引き分け。後半ロスタイム、ゴール前の混戦からFW谷村海那(かいな、25)が右足ヒールで同点ゴール。ラストワンプレーで勝ち点「1」をもぎ取った。

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一瞬の出来事だった。いわきFCは前半終了間際に先制を許し、1点を追いかける後半。強く吹く風を文字どおり追い風に、何度も決定機を作ったが決めきれず、ロスタイム6分に突入。時計は目安の6分を越え、今にも試合終了かという同51分、左サイドでMF坂岸寛大(22)が倒され、ゴール左手前約15メートルでFKを獲得。GK立川小太郎(27)も上がり、全員攻撃で挑んだラストプレーで、最後はこぼれ球を谷村がヒールでゴール左隅へ流し込んだ。「ごっつぁんゴールでした。興奮しすぎてあんまり覚えてないです」。いわきでは「たぶん初ですね(笑い)」というヒールキックでのゴール。「速く打つためにはヒールかなと思って打ちました」。最適解で連敗を防いだ。

開幕水戸戦を0-1で落とし、田村雄三監督(41)は「強いチームは絶対に連敗しない」と選手を鼓舞。谷村は「どうやってでも(最低)勝ち点1を取るという気持ちで練習からやっていました」。その共通認識がチームの結束力を高めた。ホーム開幕戦には4241人が応援に駆けつけ、指揮官は「4200人強のファンやサポーターの方々に集まっていただき、ご声援していただき、その声援が最後の1点につながった」。チームが高めた意識をサポーターが応援で後押し。全員でつかんだ勝ち点「1」だった。

次節もホームで鹿児島と対戦する。谷村は「もっと楽しませられるようなサッカーをして、勝ちたいと思います」と意気込んだ。良い終わり方ができた流れそのままに、次節は勝利で、サポーターを笑顔にする。【濱本神威】