勝てば首位再浮上だった広島は、3試合連続ドローでクラブ記録更新の開幕10戦無敗(4勝6分け)とした。ホーム川崎F戦は、一時は逆転を許したもののFW加藤陸次樹(26)の今季初得点で2-2の執念ドロー。首位C大阪、2位町田とはわずか勝ち点1差の3位を守り、9年ぶりの優勝へ射程圏内だ。

    ◇    ◇    ◇

広島は1点を追う後半30分、FW加藤の今季初得点で同点に追いついた。1分前に逆転を許したばかり。エースがMF満田の右クロスに、左足で合わせて意地を見せた。

「落ち着いて流し込めた。引き分けは、負けなしを継続できたのでプラスにとらえたい」。全20チームで今季唯一の負けなし。開幕から10試合無敗は、18年城福監督時代の9試合を抜いてクラブ記録更新だ。

「引き分けが多いので勝ちきりたい」というFW大橋が前半、今季7点目の先制ヘッドを決めるも、後半に一時はひっくり返された。最少失点を誇る広島にとっては、複数失点も今季初めてだった。

最終盤には再び大橋が決定機を迎えたが、この試合で神セーブを連発していた相手GK上福元に止められた。シュート数は相手12本に対し、倍近い23本。スキッベ監督は「相手GKがこの試合のベストプレーヤーになってしまった」と悔しがった。

それでも負けないのは広島の底力。DF荒木やMF川村ら日本代表級が故障離脱中でも、人材が湧き出るJリーグ屈指の育成クラブ。チームは未完成だからこそ、優勝候補の実力を示せた開幕10試合だった。【横田和幸】

【動画】広島満田誠のクロスに合わせたのは初ゴールの加藤陸次樹 逆転されるも直後に追いついた