柏のネルシーニョ新監督(59)が24日、鹿島のオリベイラ監督(58)を挑発した。ブラジルで監督として何度も対戦し、戦術などの手の内は熟知していると言い、勝利に自信をみせた。チームはカシマスタジアムで1分け9敗と勝っておらず、心理戦と秘策で、同会場初勝利を狙う。まだ就労ビザが下りず、スタンドから無線で指揮することになるが、遠隔操作でJ復帰戦を勝利で飾れば、降格圏脱出にも勢いが生まれる。

 新指揮官は、余裕の笑みを浮かべた。首位を独走する鹿島が相手で、しかもチームはカシマで10戦勝ちなし。不利なデータがそろう中、ネルシーニョ監督の表情は自信に満ちていた。「鹿島は質の高いチームで、若手もベテランもいるし、バランスがいい」と持ち上げた後は、敵将を挑発し、揺さぶった。

 ネルシーニョ監督

 オリベイラとはブラジルで覚えられないくらい対戦している。鹿島のビデオを見たが、やり方はブラジル時代と変わってないね。崩す方法は?

 もちろん知ってるよ。ヒントはチームの良さを消すことだね。それ以上は言えないけどね。

 4バックを基本戦術としているのを、鹿島戦に向けては3-4-3システムを用意した。監督は明言するのを避けたが、複数選手の証言を総合すると、3トップの内、ポポと李がDFラインの裏に何度も飛び込み、カウンターを狙う。相手が速攻を意識して守備ラインを下げると、もう1人のFWフランサがフリーでボールをさばくスペースが生まれ、正攻法に切り替える。攻撃に強弱をつけ、16戦無敗の相手をほんろうするつもりだ。

 アウェーの鹿島戦は2勝2分け10敗、勝利した2戦の会場はいずれも国立競技場で、なぜかカシマでは勝てない。選手でもカシマで勝った経験があるのはDF小林慶が東京V時代の00年に1度だけ。名古屋時代のDF古賀、清水時代のFW北嶋、横浜FC時代のGK菅野、東京時代のMF栗沢もリーグ戦では勝っていない。

 就労ビザが間に合わず、当日は同監督がベンチで指揮を執ることはできない。「指示を出す方法はいくらでもある。気にしない」。今春から使用可能となった無線機で指示を出す。前半の結果次第では、ハーフタイムにロッカー室で、得意の雷を落とすことも可能だ。難攻不落のカシマで好調な首位相手に勝つべく、心理戦を足掛かりに「ネルシーニョ・マジック」をかける。【盧載鎭】