【グアム28日=山崎安昭】J1仙台が、7日間にわたる第1次グアムキャンプを打ち上げた。新任の李フィジカルコーチ(PC)の「悪魔メニュー」でイレブンは、筋力だけでなくメンタル強化にも手応えをつかんだ。手倉森誠監督(42)は「厳しさが増す試合への準備として『耐えよう』という姿勢が選手に見えた」と成果を強調。チームは29日に帰国し、よりハードな第2次キャンプ(2月2日開始=宮崎・延岡)に備える。

 グアム入りした22日と、半日オフの26日を除く5日間、声を出せないほど厳しい「悪魔メニュー」に、ベガルタ戦士が耐え抜いた。最終日のこの日も、負荷を落とすどころか逆に激しさをアップさせた李PC。息つく暇を与えないサーキットトレを約1時間こなし、選手がバタバタと倒れ込む。だがイレブンの顔には、笑みが浮かんでいた。

 日に焼けた顔で手倉森監督は「きつすぎるかな、とは最初から思っていた」と明かす。筋力アップも目的だが、今キャンプのもう1つの狙いが「メンタル強化」だった。指揮官は「きつくても大きなけが人もなく、みんなで限界までやれた。J1の厳しい戦いに耐えようとする、気持ちが見えた」と満足げだ。

 ここ数シーズン、精神力の弱さが災いし、J2にとどまっていた仙台。08年には磐田との入れ替え戦に進出したが、1点に泣いた。その悔しさを糧に昨季、昇格を果たしたがJ1で戦い抜くために、もうひと皮むけさせようと、グアムで心身を鍛え抜いた。DF渡辺が「これくらいやんないとJ1ではダメですから」と話すように、指揮官の意図はイレブンに伝わった。

 延岡での第2次キャンプでは「とことん走らせる。しかもスピードも上げて走らせる」と指揮官。個人能力の高い選手がそろうJ1舞台で、走り負けない運動量を武器に、組織で戦うつもりだ。「もっともっと(負荷を)上げていこうぜ!」。全メニューを消化したベガルタ戦士が、熱い決意をグアムの青空に響き渡らせた。【山崎安昭】