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 クラブW杯:柏1-3サントス>◇準決勝◇14日◇豊田ス

 これがサッカー王国ブラジルの宝だ!

 南米王者サントスのブラジル代表FWネイマール(19)が、圧巻の先制ゴールでチームを決勝(18日・横浜国際)へと導いた。柏との準決勝にフル出場。前半19分、MF大谷を鋭い切り返しでかわすと、利き足と逆の左足でカーブをかけたミドルシュートを決めた。抜群のドリブルセンスと決定力を併せ持つことから、同じサントスの伝説的選手ペレの再来と並び称される逸材。プロデビュー3年目ながら、通算100ゴールに王手をかけた。

 「宝石」の異名を持つネイマールが、まばゆい光を放った。かつてのベッカムのようなモヒカンを揺らし、ピッチを縦横無尽。2人、3人のチェックを縫うようにして抜けると、地鳴りのようなため息が漏れた。そしてテクニックの凝縮された一撃を押し込んだ。

 前半19分だ。MFガンソからのパスをペナルティーエリア外の右で受け、ジリジリ前進を始めた。視界の左から、大谷のスライディングタックルが見える。その瞬間だった。ドリブルの足をピタリと止め、右足裏を使って左へターン。タックルをヒラリとかわした。「ちょっと考えたけど、マークされてたからね。すぐシュートすることにしたんだ」。ちょっとにしては、あまりに一瞬すぎる判断。しかし本当の見せ場はこの後だった。なんと利き足とは逆の左で、器用にカーブをかけてシュート。今大会、大当たりのGK菅野が、1歩も動けないほどの精度で、ゴール左隅ギリギリに決めた。「レイソルにはてこずったけど、最高のゴールを決められたよ」と、笑顔を見せた。

 ブラジルの将来を背負う19歳が、大の大人たちを子供扱いした。既にサッカーの王様ペレと並び称される逸材だ。サントス所属で若くしてゴールを量産した境遇も似ている。09年3月のプロデビューから3年足らずで、これが通算99ゴール目。大台にあと1点と迫った。ラマーリョ監督は「見ただろう?

 あれがネイマールという選手だ。豪華なショーを見せ、試合を決められる男なんだ」と自分のことのように胸を張った。

 Rマドリードやバルセロナなど、欧州のビッグクラブへ移籍するうわさは後を絶たない。それでもネイマールは母国でのプレーにこだわる。未婚ながら8月に恋人との間に第1子が誕生したからだ。「子供もいるし、欧州に行くのを焦る必要はないと思う」。それでも、その価値は天井知らずに上がっている。移籍金は5000万ユーロ(約52億5000万円)にまで高騰。ブラジルの経営コンサルタント会社は「ネイマールの移籍金は柏のスタメン合計の4倍以上」と試算した。

 決勝ではバルセロナとの一騎打ちが期待されている。ネイマールも今日15日、スタジアムで観戦予定だ。「彼らと対戦できればうれしいな。応援するよ」。希望がかなえば、アルゼンチンの天才マラドーナの再来と呼ばれるメッシとの対決も実現する。「レジェンドプレーヤー2世」の代理戦争が実現すれば、世界の注目を集めそうだ。