<天皇杯:横浜2-1横浜FC>◇10日◇3回戦◇日産ス

 横浜の元日本代表MF中村俊輔(34)がプロ初の1試合直接FK2発を決め、J2横浜FCを下して4回戦に進出した。前半と後半に「代名詞」ともいえるFKで鮮やかにゴール。試合後には横浜FCのFWカズ(三浦知良、45)とうれしいユニホーム交換も実現した。

 寒空の下、中村が描く芸術的なボールの軌道に日産スタジアムがヒートアップした。前半25分、ペナルティーエリア手前からFK。中村が左足で振り抜いたボールは左のポストを直撃し、そのままゴールに吸い込まれた。後半3分、再びペナルティーエリア手前やや右からのFK。カーブがかかったボールは、今度はゴール右隅に突き刺さった。

 中村本人が「記憶にない」と言う通り、プロでは自身初となる直接FKでの1試合2ゴール。日本代表や海外クラブでも経験がない。J1でも達成者は過去に6人だけという快記録だ。リーグ戦の公式球より少し軽いボールに「1本目はイメージと違う方に飛んでいった。入ったことはいいことだけど、リーグ戦で決めないといけない」と気を引き締めた。

 この日は、かつて日本代表としてともにプレーした横浜FCカズがベンチ入り。ピッチで対戦はかなわなかったが、試合後にはユニホームを交換した。フットサルW杯出場に向けてサッカーと二足のわらじを履く先輩に「大変だと思うけど、あれだけの年齢になっても悩みがあるのは幸せだと思う」。大きな刺激を得る一戦となった。【由本裕貴】

 ◆1試合2直接FKゴール

 横浜MF中村は初めて。J1リーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯の国内公式戦、イタリア、スコットランド、スペインの海外リーグ、さらに日本代表のAマッチでも経験がなかった。J1リーグ戦では過去に6人だけの珍しい記録で、そのうち日本人選手は2人。96年に浦和MF広瀬治、04年に東京VのMF三浦淳宏が記録している。