浦和のFW原口元気(23)が、ドイツ1部のヘルタへ完全移籍することが22日、決定的となった。浦和と原口の契約は来年1月末まで残っているが、ヘルタが移籍金を払って獲得する方向でクラブ間交渉が最終段階に入った。7月15日までのJ1リーグ戦の中断期間中に契約となる見通しだ。

 原口は今季から背番号9を背負い、リーグ戦の中断前の首位ターンに貢献した。得意のドリブルだけでなく、相手DFラインの裏への飛び出し、中盤の左サイドで起点になるなどプレーの幅を広げた。ジュニアユース時代から所属する浦和への愛着はあるが、成長するために環境を変えたいという思いもあるようだ。

 昨オフには欧州の数カ国を回ってリーグ戦などを観戦。以前、海外の移籍について「レッズでタイトルを取ってからがベスト」と話していたが、主戦場を欧州に移したい気持ちが徐々に高まったとみられる。来季のドイツ1部の開幕は8月22日。今回のタイミングでの移籍は活躍への近道だ。

 ヘルタには浦和でチームメートだったMF細貝が在籍。ルフカイ監督も日本人選手の勤勉さを評価しており、チームに溶け込みやすいはずだ。コロンビア代表FWラモスがドルトムントに移籍し、前線の一角に食い込むことも可能だ。

 W杯のメンバーからは漏れた原口だが、4年後のロシア大会に向けて新たな1歩を踏み出すチャンス。交渉の進展次第では、6月1日ナビスコ杯の名古屋戦(埼玉ス)が浦和での最終戦となりそうだ。

 ◆原口元気(はらぐち・げんき)1991年(平3)5月9日、埼玉県生まれ。中学進学と同時に、浦和ジュニアユースに所属。08年5月に2種登録選手としてトップチームに登録。09年開幕戦にスタメンでJリーグデビュー。4月の名古屋戦でクラブ日本人最年少(17歳11カ月3日)でゴールを決めた。11年10月に日本代表デビュー。177センチ、63キロ。

 ◆ヘルタ・ベルリン

 1892年創設。29-30年、30-31年シーズンにブンデスリーガを連覇した。MF奥寺康彦が80-81年シーズン(当時2部)に所属して25試合8得点。MF細貝萌が13年夏に加入して、奥寺以来2人目の日本人選手となった。今季の細貝は33試合無得点で、チームは11勝8分け15敗の11位。本拠地オリンピア・スタジアムは収容7万4064人。ヨス・ルフカイ監督。

 ◆今季のブンデスリーガの主な日本人

 1部、2部を合わせてW杯日本代表7人が在籍した。1部のマインツではFW岡崎が15得点を挙げ、日本人の欧州主要リーグのシーズン最多得点記録を更新。今年1月から、2部の1860ミュンヘンにFW大迫が加入。15試合で6得点を挙げた。2部ではケルンのMF長沢和輝(22)が優勝と1部復帰に貢献した。