<J2:水戸1-1北九州>◇第26節◇10日◇Ksスタ

 J2水戸のGK本間幸司(37)が、ホーム北九州戦でJ2通算500試合出場を達成した。名古屋GK楢崎らが500試合出場を達成しているが、J2のみで500試合出場は史上初。試合は1-1のドローに終わったが、体を張った好セーブを披露した。

 こわもての表情が一瞬、緩んだ。試合後、サポーターからお祝いの言葉を贈られると、笑顔を見せた。勝利を挙げられず、悔しさもあったが、「続けられる限り現役でいたい」と話すように、積み上げたJ2通算500試合出場という偉業を少しだけ誇った。

 99年途中、出場機会を求めて浦和から当時JFLの水戸に移籍。「1年やってダメならサッカーなんてやめよう」と思っていたが、水戸でのプレーも16シーズン目に入った。この日も変わらず、いつもと同様に声を張り上げ、体を張って後方からチームを支えた。

 37歳。若き日のように痛飲した翌日、練習で汗を流すようなこともできなくなってきた。元来、やんちゃで豪快な性分。03年に1年だけ水戸にいた名古屋DF闘莉王も「兄貴分」として慕うほどの男は、「ここ数年、体をいたわるようになった」と苦笑いした。

 11年3月11日、東日本大震災が発生した。福島第1原発事故の影響もあり、水戸にも多大なダメージが生じた。「『東京に逃げた方がいい』と言う人もいた。でも、俺には家族もいる。実家もある。応援してくれる人もいる。逃げるなんて選択肢はなかった」。

 水戸をなんとかしたい、サッカーで盛り上げたい-。あれ以来、日増しにそんな思いが強くなった。この日は同郷の1学年先輩のFW鈴木隆が同点弾を決め、後輩の記録に花を添えた。「今、自分にできるのはサッカーしかない」。500試合は通過点。本間は水戸のために歩んでいく。【菅家大輔】

 ◆本間幸司(ほんま・こうじ)1977年(昭52)4月27日、茨城県日立市生まれ。水戸短大付高(現水戸啓明高)から96年に浦和に入団。出番に恵まれず、99年の途中から当時JFLだった水戸に移籍し、そこからは水戸一筋の現役生活を送る。11年10月23日の熊本戦で史上3人目のJ2通算400試合出場を、13年3月3日の草津戦で史上初のJ2通算450試合出場を達成した。185センチ、84キロ。

 ▼J2通算500試合出場

 水戸GK本間幸司が、10日の北九州戦で達成。J2史上初。初出場は00年3月11日の第1節浦和戦(駒場)。J1で500試合出場は、MF伊東輝悦(清水、甲府=517試合)、GK楢崎正剛(横浜F、名古屋=555試合)、DF山田暢久(浦和=501試合)の3人。