FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会に出場している日本代表(FIFAランク24位)は27日に1次リーグ第2戦でコスタリカ代表(同31位)と対戦する。

強烈な日差しが降り注いでいた。この時季でも気温30度を超えるドーハ。午前に始まった練習は冒頭15分以外、非公開で行われた。サングラスをかけた森保監督は微動だにしなかった。ドイツ相手に奇跡とも呼べる逆転勝利。ただ、それは過ぎたこと。試合翌日に「これまでの活動の中で出た結果に一喜一憂し過ぎないことは、言い続けてきている。ドイツ戦は過去のこと」。27日のコスタリカ戦しか見えていなかった。

歴史をつくる。コスタリカ戦に勝てば、その後の同組のもう1試合の結果次第で決勝トーナメント進出が決まる可能性がある。2試合での突破は日本では初となる。ドイツ戦で貴重な同点弾を決めたMF堂安をスタメンに抜てきする見込み。大幅な先発入れ替えの可能性もある。史上初の8強入りへ新たな1ページをつくるため、まず、日本史上最速突破を決めにいく。

歴史を受け継ぎ、アップデートしている。1日の26人のメンバー発表。GK3人を除く23人には、発表資料にポジション表記がなかった。4年前の西野前監督も、同様にGK3人以外に位置を記すことはなかった。当時、西野前監督はそのアイデアを発表当日、急きょ資料の作成担当に伝えてきたという。関係者は「ポジションの表記は外せたが、いわゆるDF、MFの間に、スペースが空いたままだった」と説明する。

今回、森保監督は発表1週間前に、同様の方式を打診してきたという。「西野さんも、そうされていた。自分もそうしたい」。準備段階があり、今回は位置ごとの隙間がない。同関係者によれば「変な話、吉田がFWで久保がDFとされても問題はなかった」。ここに、森保監督の願いが込められている。「フィールド選手をポジションで分けることはしたくない。代表を戦うメンバーであることに変わりはない」。

全員で守り、全員で攻める-。けがを抱える酒井と冨安は欠場が決定的。主力DF2人が抜けても、そもそも、森保監督の認識では2人はただ“DF”ではない。信じ、選び抜いた選手と今こそ、歴史を刻む。【栗田尚樹】