【ドーハ(カタール)28日】FIFAワールドカップ(W杯)日本代表MF遠藤航(29=シュツットガルト)が、1次リーグ最終戦となる12月1日のスペイン戦を欠場することが濃厚となった。

27日のコスタリカ戦で右膝を痛め、この日の練習を欠席。状態は思わしくなく、中3日で迎える大一番には間に合わない見通しとなった。チームの要だけに、森保ジャパンにとっては大打撃。決勝トーナメント進出をかけた一戦は、死闘を免れない状況となった。

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決勝トーナメント進出をかけて強敵に挑む日本が、厳しすぎる状況に追い込まれた。ボランチのレギュラーを担う遠藤が右膝を痛め、スペイン戦の欠場が濃厚となった。敗れた27日のコスタリカ戦後には「攻撃に関して課題が出た。とにかく切り替えるしかない」と大一番を見据えた言葉を残していたが、試合後に病院で検査を受けた。診断名は確定しなかった模様だが、この日の練習には参加せず、ホテルで別メニュー調整。中3日で迎えるスペイン戦での復帰は厳しい状態となった。

森保監督は目標のベスト8入りへ、コスタリカ戦ではフィールド選手のスタメンを初戦ドイツ戦から5人変更。少しでも選手の消耗を抑える狙いもあったが、遠藤は吉田主将、板倉の両センターバックらとともに2戦連続フル出場。リードする展開に持ち込み、交代させて休ませることが理想だったが、逆に先制される最悪の展開に陥り、交代機を逸機。主軸の体力消耗は免れなかった。

森保ジャパンにとって、守備での絶対的な存在だった。ブンデスリーガでは2季連続のデュエル(1対1の争い)王となり、初戦ドイツ戦でも球際で圧倒。地上、空中戦ともに支配し、ドリブル成功率も100%と驚異のスタッツを残していた。3日後に控えるスペイン戦は、ボールを支配され、耐えしのぐ展開になる可能性が高い。遠藤抜きとなれば、中央の守備の強度を保つのは難しくなる。

ボランチは本職に田中、柴崎がいるがスペイン戦での遠藤の代役は、ここまで2戦フル出場中で、代表での本職はトップ下の鎌田が務める可能性も出てきた。森保監督はこの日、「次にどれだけパワーを作れるかが大切。今のベストをスペイン戦にぶつけたい」と言った。主力に大きな問題を抱えた状態で、運命の1戦を迎えることになる。」

 

○…コスタリカ戦で出場機会のなかったDF冨安とDF酒井は、この日の練習も別メニュー調整となった。右太もも裏に違和感がある冨安はピッチでダッシュを繰り返し、ボールを蹴る姿もあったが、まだ不安は残る。左太もも裏の違和感の酒井は、トレーナーとともに軽いジョギングを行うにとどまり、スペイン戦の出場は絶望的となっている。

 

◆アクシデント続きの遠藤の経過

8日 ブンデスリーガ・ヘルタ戦で相手選手との空中戦で頭部を激しく打ち、倒れ込んで救急搬送された。

15日 一時はW杯出場に黄信号もカタール合流。初日はランニングなど軽めの調整。

16日 カナダ戦が行われたドバイには行かず、ドーハでボールを使った練習を再開。

17日 ヘディング、ドリブル、シュート練習も実施。

21日 ドイツ戦2日前の練習で「間に合う。90分やるつもり」と宣言。

23日 復帰戦の初戦ドイツ戦はフル出場。「正直最初に(頭に)当たった時は無理かなと思っていた。間に合ってよかった」

27日 コスタリカ戦フル出場も攻守に精彩を欠き「攻撃に関して課題が出た」と反省。

 

◆遠藤航(えんどう・わたる)1993年(平5)2月9日、神奈川県生まれ。横浜市立南戸塚中のサッカー部から湘南ユースに進み、10年に2種登録でJリーグデビュー。11年にトップ昇格。19歳で主将も務めた。16年から浦和でプレー。18年ベルギー1部のシントトロイデンに移籍。19年にシュツットガルトに期限付き移籍し、20年に完全移籍。昨季は2年連続でデュエル(ボール奪取)王に輝いた。今大会は2大会連続のW杯メンバー入り。178センチ、76キロ。