日本代表主将のDF吉田麻也(34=シャルケ)が、喜びを爆発させた。

前半に1失点も、粘り強く守備陣を率いた。失点すれば敗退の後半44分にはGK権田がはじいたボールに左足を伸ばして、間一髪でクリア。後半ロスタイム7分を含めて耐え切った。

11月27日のコスタリカ戦では自らのパスミスから決勝点を献上。中3日で臨んだ大一番で、汚名返上の奮闘。どんな時も諦めず戦い抜いた先に、最高の結果が待っていた。

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試合後のロッカールームに、吉田の声が響き渡った。歓喜に沸く空間で、1人肩を落とす姿があった。「滉、泣くな、早いぞ!」。目の前にいたのはDF板倉。累積警告で次の決勝トーナメント1回戦は出場することができない。肩を落とす後輩に「もう1個勝つんだよ!」「もう1個行くんだよ!」。準々決勝に進出すれば、板倉も戻ってこられる。キャプテンは、次の勝利を見据えていた。

苦しい時間の先には、最高の景色が待っている。前半は相手に80%以上のボール保持率を許す展開。前半11分に先制を許し、吉田、谷口、板倉と3人が前半のうちにイエローカードを受けた。「ビッグクラブと対戦する時はどうしても審判が、時に相手側にリスペクトし過ぎてしまうことがある」。欧州で培ってきた経験はここぞの場面で生きる。後半44分、GK権田の必死ではじいたボール。ゴール前にふわりと浮かんだボールを、左足で相手より先に蹴り出した。最後の最後まで力を振り絞った。

「いやぁ、やっぱこれだから代表やめられませんね。最高でした」。

コスタリカ戦ではMF守田につなごうとした自らのパスミスから決勝点を与えた。「あのシーンに関しては技術的なミス」と潔く認めた。諦めず、死力を尽くし、汚名返上を果たした。

初めて主将として挑む3大会連続の大舞台。このチームが続くうれしさが身に染みる。「代表として戦えるこの喜びを毎日かみしめて、もっともっと上に行きたい。10年後かな? 代表になる選手がこの試合を見たから、というのがふえれば、それは日本のサッカーの進歩だと思う」。

サッカー界の未来をも見据えながら。できるだけ高いところへ、仲間たちを引っ張っていく。【磯綾乃】

○…ドイツ戦で勝ち越しゴールを放ったFW浅野拓磨は、3試合連続で後半から出場し、1トップとして勝利に貢献した。2つ目の金星に対し「僕らには必然だった結果。それを奇跡と呼ぶのは、みなさん次第」と胸を張り、「今日の試合で終わるつもりはさらさらない。目標は優勝。それができると、みんなに思わせることができたのでは」と自信を深めていた。