【ドーハ(カタール)3日】フル出場OK! 日本代表DF冨安健洋(24=アーセナル)が、完全復活を宣言した。1次リーグ最後の1日スペイン戦では後半から途中出場して、抜群の安定感で勝利に貢献。右太もも裏の状態についても「次の試合はもっといい状態で臨める」。決勝トーナメント1回戦の5日クロアチア戦で、満を持して、今大会初先発が期待される。

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日本が誇る冨安が、完全復活する。この日、オンラインで取材対応。クロアチア戦で90分フル出場の可能性を問われて「はい、大丈夫です」と即答。「スペイン戦をやって、いい感じにコンディション調整できた。次はもっといい状態で臨めるかなと思います」。

生きるか死ぬかのスペイン戦を「コンディション調整できた」と振り返る。21年9月には日本人DFとして最高額となる移籍金30億円(当時)でイタリア・ボローニャからアーセナルに加入。「30億円の男」はとにかくスケールがでかい。

「うまく周りとコミュニケーションをとりながら守ることができた」

右太もも裏の違和感で別メニュー調整が続いていたが、スペイン戦は1点リードの試合を締める存在感を見せた。次戦は、累積警告で1次リーグ3試合でフル出場だったDF板倉が出場停止。それでも冨安が今大会初先発ならば、強固なDFラインはキープできる。

戦いたい理由がある。前回の18年ロシア大会。準優勝したクロアチアの戦いぶりをじっと見つめていた。

「印象に残ってる国の1つ。本当に全選手がハードワークしていましたし、見ている人たちが応援したくなる国の1つだと思った。そういった国に僕たちがどれだけできるかも、ピッチ上で表現できれば」

因縁浅からぬ相手もいる。冨安が右に入れば、マッチアップするのは、FWペリシッチになる。イタリア時代から対戦した相手は、今季からはトットナム所属。アーセナル対トットナムは歴史ある「ノース・ロンドン・ダービー」と呼ばれ、選手もサポーターも燃えるバチバチのライバルだ。

「絶対やらせちゃいけない相手。サポーターもそうですし、アーセナルでプレーしていると勝手にそういう意識が芽生えてくる。(サポーターも)そこだけはやらせるなと思ってると思いますし、しっかり抑えたいなと思います」

もう1つのモチベーションもビッグクラブでプレーするからこそ。代表とクラブ。2つの誇りを胸にして、絶対に負けられない戦いを制する。【磯綾乃】

◆冨安健洋(とみやす・たけひろ)1998年(平10)11月5日生まれ、福岡市出身。福岡の下部組織から15年にトップ昇格。18年にベルギー1部シントトロイデンに移籍。19年にボローニャ、21年にアーセナルとステップアップした。昨夏の東京五輪で4強入りに貢献。国際Aマッチ31試合1得点。187センチ、84キロ。

◆今大会の冨安 合流前の11月3日、欧州リーグ・チューリヒ戦で右ふともも付近に違和感を訴えて途中交代。13日にドーハ入りも、別メニュー調整が続いて、同17日の国際親善試合カナダ戦(UAE)へは帯同せず。同20日から全体練習に合流した。同23日、ドイツとの初戦はスタメンを外れるも、劣勢となった後半開始から出場。守備と正確なビルドアップで金星に貢献した。ただ負傷箇所だった右太もも裏に違和感を抱えたままプレーしたことで、再び離脱。敗れた同27日のコスタリカとの第2戦は出番がなかった。12月1日のスペイン戦も間に合うか微妙だったが、決勝トーナメント進出がかかった2-1の後半23分から出場。右サイドで相手の攻撃をことごとく封じて、決勝トーナメント進出に貢献した。