サッカーW杯に臨んでいる森保ジャパン。日刊スポーツの記者も密着しています。「カタールの風」と題し、現地の雰囲気などを随時お届けしていきます。

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カタール生活も26日目。ホテルの部屋で少し冷めたハンバーガーを食べていると、思い出す。「西さんのペペロンチーノ、すごくおいしかったなあ…」

16強入りした日本代表の胃袋を支えた専属シェフの西芳照さん(60)。おいしく、たくさん食べてもらう工夫の1つが「ライブクッキング」だった。朝はオムレツ、昼や夜はステーキにパスタ。選手たちの目の前で作って、出来たてを提供する。代表の同行を始めた04年、作り置きのステーキがほとんど残っていたのを見て思い付いたという。

五感で楽しめて、選手にも大好評。1日で8キロものパスタがなくなる日もある。「われながら、いい仕事をしたと思います」。西さんがおちゃめに笑っていたのを思い出す。8月に取材した際、私も“体験”させてもらったが、にんにくの香り、炒められる音だけで、おなかがすいてくる。食欲を増進させる秘密は、少し濃いめの味付け。大きなフライパン2つに山盛りのパスタを、記者8人で約15分でたいらげた。

今大会のスペイン戦当日の昼には、相手国の郷土料理、ガスパチョ(スペインの冷製スープ)も並んだ様子。西さんの一手間、一工夫が戦う体を強くし、“大物食い”につながったのだと思う。【磯綾乃】