自国初の開催となったワールドカップ(W杯)の14日の開幕戦でサウジアラビアに5-0で圧勝したロシアの観客は歓喜に沸いた。会場のルジニキ競技場周辺では試合後も「ロシア、チャンピオン」などと絶叫を続けたが、今後の難敵との対戦に向けては冷静な声が相次いだ。

 サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と観戦したロシアのプーチン大統領は、得点が入るたびに肩をすくめ皇太子を気遣う様子を見せつつも満足そうな表情だった。プーチン氏は試合後にチェルチェソフ監督に電話し、祝福した。

 親善試合で勝利から遠ざかり、ロシア国内で「史上最弱」とまで酷評されてきた代表チームのゴールラッシュは期待を上回る結果で、モスクワから約1000キロ離れたサラトフ州から駆け付けた企業家のアレクセイ・イブエリエフさん(44)は「望んではいたが予想もしなかった大勝。次につながる試合だ」と手放しで喜んだ。

 一方、国際サッカー連盟(FIFA)ランキングが出場国で最下位のロシアと下から2番目のサウジの対戦だったことを冷静に受け止めるサポーターも少なくない。ロシア紙のパベル・サトコフ記者(44)は「今日は相手が弱かった。メディアや国民にたたかれてきたチームや監督は自信を得ただろうが、1次リーグを突破できると思うのはまだ早い」と、今後のエジプト、ウルグアイ戦は厳しい戦いになるとの見方を示した。