メキシコが、強豪国との戦い方を教えてくれた。大会第4日に前回大会王者ドイツを1-0で、ワールドカップ(W杯)で初めて撃破。その戦い方は緻密な「戦略」によるものだった。ドイツの心胆を幾度も寒からしめた鋭いカウンター力はともかくも、戦法は日本がコロンビアと戦う上で相通じる。日本も、かく戦え!

 先発11人の平均身長が180センチに満たない男たちが、6センチも大きい屈強な前回王者を追い込む。計算された“足取り”で。メキシコの、ドイツに対する緻密な位置取り。そこに、同じく180センチに満たない日本も見習うべき倒し方があった。

 (1)パターンを壊せ

 ドイツは、DFの中で世界有数のパスセンスを誇るフンメルスから攻撃が始まる。メキシコはそこを封じて、足元の技術で劣る隣のボアテングに持たせ、あえて寄せずに攻めさせた。公式データでは、フンメルスが出したパス38本に対して、ボアテングは83本。単調な攻めをカウンターにつなげた。

 コロンビアで見れば、攻撃の始まりはボランチのC・サンチェス。彼がMFロドリゲスを生かすだけに、ボールを持たせなければリズムを崩せる。「コロンビアのボアテング」を探せ。

 (2)二の矢、三の矢

 流れを変えたいドイツは司令塔MFエジルをボランチに下げて再構築を試みる。するとメキシコは5バックに変更し、精神的支柱の39歳DFマルケスも投入。恐れずにエジルを封じた。

 日本も「守り方」がはまったとき、コロンビアに対策を練られる。そこで二の矢、三の矢を放てるか。

 (3)全ては指揮官次第

 「教授」の異名を持つメキシコのオソリオ監督は半年前から緻密な戦略を練っていた。就任わずか2カ月の西野監督も、代表コーチ時代にオフト監督の下で「偵察」を務め、一からたたき込まれた分析力を持つ。食事会場などあらゆる場所でブラジルの映像を流し、特徴を記した紙を貼った96年アトランタオリンピックの「マイアミの奇跡」が証明する。

 メキシコがくれた戦術と勇気。日本も、受け取れ。