前回大会王者のドイツがまさかの黒星発進となった。前半にメキシコの狙い澄ましたカウンターを浴びて先制点を許すと、後半から猛攻を仕掛けるも、守りを固めた相手からゴールを奪うことはできなかった。

 ドイツが初戦で敗れるのは、準優勝した82年スペイン大会以来、36年ぶり。レーウ監督は「前半はひどかった。いつもの我々ではなかった」と頭を抱え、DFフンメルスも「目覚ましが鳴るのが遅すぎる。なぜこうなったのか分からない」と落胆を隠せなかった。

 不吉なデータがある。現行の32カ国出場となった98年フランス大会以降、前回王者が初戦を引き分け以下で終わると、決勝トーナメントに進出した例はないのだ。02年にセネガルに0-1で敗れたフランス、10年にパラグアイと1-1で引き分けたイタリア、14年に1-5でオランダに敗れたスペイン。いずれも1次リーグで姿を消している。

 昨年のコンフェデ杯は若手主体で圧勝し、史上3カ国目となる連覇は盤石と思われたが、早くも黄信号がともった。MFクロースは「初戦を落としたらプレッシャーにはなる。残り2試合で勝ち点6を取り返さないといけない」と危機感を口にする。次戦は堅守のスウェーデン。レーウ監督は「パニックになる必要はない」と自らに言い聞かせるように平静を装っていた。