日本の次戦の相手セネガルは、ポーランドを2-1で下し、決勝トーナメント進出に向けて大きな1勝を手にした。FWムバイ・ニャン(23)が持ち前の高い身体能力を駆使し、1得点を含む全2点に絡んだ。セネガルは予測不能の動きで攻撃する一方で、相手にスペースを与えない規律重視の守備力も見せつけ、ポーランドの絶対的エースFWロベルト・レバンドフスキを完封した。

 予測不能な動きが試合を大きく左右した。最も象徴的なのが後半15分の2点目。左FWで先発していたニャンが足を痛めて右サイドのピッチ外で治療していた。相手の不用意な浮き球のバックパスが出た時にピッチへ戻るとそのままボールへ向かって加速した。

 両チーム最速の時速32・62キロのスプリントで前にいたDFを抜き去ると、飛び出してきたGKとの競走に。右足を出して間一髪GKより早く触れると、ここからがアフリカ選手の代名詞「身体能力」を発揮する。無理な体勢でボールを突いたのにスピードが落ちず。後ろから追ってきたDFの前に体を入れて相手の進行方向を遮断し、最後は余裕を持ってゴールに流し込んだ。

 バックパスをしたクリホビアクにとって、いるはずのない選手が突然現れたように見えただろう。まさに神出鬼没。ニャンは「審判がピッチ内へ入るよう言ったとき、後ろからボールが来ていることを感じた。ただ単に何かがあると感じただけ」と直感を駆使。負傷のアクシデントも相手を惑わす、まさに予測不能の得点だった。

 ただ身体能力だけではない。前半37分の先制点ではニャンが浮き球のルーズボールを強引に奪って速攻を仕掛けたが、相手DFがそろっていると見るやスピードダウン。中にいたFWマネを経由し、中盤から上がってきたMFゲイがミドルシュートしてオウンゴールを誘発した。

 先発したフィールドプレーヤー10人中5人がフランス出身。セネガル出身の5人も、10代もしくは20代前半から戦術を重視する欧州クラブに所属。速攻の「一の矢」がだめなら、「二の矢」で射止める組織的な攻撃を見せた。

 シセ監督は「我々はこのチームをよく研究し、ある戦略を実行し、しかるべきシステムを配置した」と狙い通りのゲームプランだったと話した。予測不能な攻撃に、組織的な攻撃もありと、次戦で当たる日本にとって的を絞りづらい対戦相手となった。