ワールドカップ(W杯)ロシア大会の決勝トーナメント1回戦ベルギー戦に向けた日本の公式会見が1日、ロストフナドヌー市内の会場ロストフ・アリーナで行われた。西野朗監督(63)が、DF昌子源(25=鹿島アントラーズ)が出席。別会場での公式練習が控えるため先に対応した昌子に続き、質疑応答した。

 

 まず、決勝トーナメントからあるPK戦の準備について聞かれると「(勝敗を)決定しなければいけない方式。そこに至る前に決着をつけたい。今まで、代表ではないチーム(クラブ)を預かってきた中で、勝敗やタイトルを争ってきた中で、1度たりとも全員でPKのトレーニングをしたことがないんです」と意外な事実を明かした。

 

 その上で「落ち着きたいとか、不安な選手は個人的に練習していたけど、全体で練習してPK戦に臨んだことはない。あの精神状態を練習でつくることは不可能。キッカーが優位。いろんな要素が絡んだ、緊張感がある中で、ボールをセットできるかどうかに懸かってくる。あまり意味のないトレーニング。現状、1度もピッチでやっておりません。明日は至る前に決着をつけたい」と、あらためて強調した。

 

 今大会の決勝トーナメントはアルゼンチンとポルトガルが敗退。この会見中に試合が行われていたスペインも、開催国ロシアと1-1で延長戦に突入するなど苦戦していた。それを見て感じたことを問われると「ベスト16。ノックアウト。いろんなチャレンジをして臨む必要ある。世界トップ3(FIFAランク3位)に入るベルギーという強豪国に、どう挑んでいくか。61位の日本ですから。それでも決勝トーナメント1回戦は存在する。あらゆる策を駆使して、力を。足りないかもしれないですが、チーム全体で別の力を作り出して戦いたい。そういうことをしていかなければ戦えない相手。紙一重でもあると思うので。勝機が、どこかにピッチに落ちている。全員で拾っていきたい。大会が始まってから日本は、化学反応を起こして、違う力を全員で作り出してきました。このステージ、また別の状況、雰囲気。1次リーグと違う戦いになる中で日本チームらしい戦いをしたい。。今までに2回(ベスト16まで)進みましたけど、その時とは違う、十分に(余)力を持っている。力を生み出せる。一丸となって、明日は臨みたい」と意気込んだ。

 

 02年日韓大会と10年南アフリカ大会の16強時、西野監督はどこで見ていたか聞かれると、なぜか感想で返した。「両大会とも日本チームは、1次リーグを素晴らしい戦いで勝ち抜いた。ただ、すべてを出し尽くした感があり、余力があったかどうか。02年に関しては初めて突破した達成感、満足感があり、貪欲に決勝トーナメント1回戦に挑めたか。どうだったでしょう。2回目の南アも1次リーグですべてを出し尽くした。だから今回、総合力にアプローチしてきた。強豪国並みの『W杯は、これからだ』というレベルにはいきませんけど、3回目で精神的な余裕、スピリット、メンタリティーが出てきた。おそらくベルギーは、これから大会が始まる感覚だと思う。我々も、精神的な面で同じレベルに立ちたい。その気持ちを対等以上に持ちたいし、持っていいと思います。選手は余力を持ってトーナメントに入れる状況にある」と過去2大会との違いを口にした。

 

 ターンオーバーしてきた過去の国際大会の結果を踏まえ、勝ち進むために必要なことは何か質問されると「3戦目は、勝ち上がりが決まっていたわけではない状況で、主力を休ませたと言われる。ある意味では、主力に対するアプローチもありますし。ただ、バックアップとは言いたくない。ロシアに入る前から、同じような力を持った選手たちがいた。そして3戦目を迎えられた。ターンオーバーして十分に戦える自信もありましたし、休ませたと言われると、確かにその部分もあるんですけど、格差があるとも感じなかったし、決勝トーナメントにフレッシュな形で全体が入るためにも、自信を持って選手を送り出した。疲弊もしてない。いい状態で明日を迎えられる」と自信を見せた。

 

 ベルギー人記者から「GK川島に関する質問が飛ぶと「彼は完璧主義。1、2戦目の後に2人で話しました。彼から。自分の立場、プレーについて話して。彼だけですね、欧州でGKとして経験を積んでいる選手は。その中で自己分析をしっかりしていて。逆に欧州の中で、ベルギーの選手についても、よく知っていると思います。彼に限らず、欧州のビッグクラブで活躍している選手たちがベルギー代表。(川島)永嗣からの情報もあるけど、すべてのスタイル、分析の上で、そういう中での戦い。相手のストロングは間違いなくある。されどウイークポイントもたくさんある。日本のストロングを持って対抗していきたい」とガチンコ勝負を予告した。