日本代表が後半ロスタイム4分、カウンターからFWナセル・シャドリ(28=ウエストブロミッチ)の決勝弾を浴びて逆転負けし、初の8強進出はならなかった。2点目を決めたMF乾貴士(29=エイバル)は人目もはばからず号泣した。

 日本は後半3分、MF原口元気(27=デュッセルドルフ)のゴールでベルギーから先制し、同7分には乾貴士が2点目を決め、一時はリードした。

 日本は自陣でDF長友佑都(31=ガラタサライ)が相手の前進を止めると、乾がMF柴崎岳(26=ヘタフェ)が柴崎につなぎ、その柴崎が中央やや右に絶妙なスルーパスを通した。そこに走り込んだ原口が、DFヤン・フェルトンゲン(31=トットナム)との1対1から、右足を振り抜きゴール左に決めた。

 さらに同7分、相手DFのボールを奪ったMF香川真司(29=ドルトムント)の落としたボールを、乾が右足でゴール右にたたき込んだ。

 ところが後半24分、ペナルティエリア左の角度のないところからフェルトンゲンが放ったヘディングシュートが、やや前に出た川島の頭上を抜きゴールに入り1点差。さらに同29分、MFエデン・アザール(27=チェルシー)の左クロスを、途中出場のMFマルアン・フェライニ(30=マンチェスター・ユナイテッド)がヘッド。MF長谷部誠(34=フランクフルト)とDF吉田麻也(29=サウサンプトン)が競り合ったものの、止めきれずに押し込まれて同点に追いつかれた。

 そして後半ロスタイム、MF本田圭佑(31=パチューカ)のCKを、GKティボー・クルトワ(26=チェルシー)にキャッチされると、そこからカウンターを食って失点した。

 開始54秒、両軍最初のシュートを放ったのは香川だった。香川はDFのこぼれ球を拾うと、思い切りよく左足を振り抜いたが、わずかに枠を外した。同7分にも柴崎のロングパスを左サイドで受けた乾がゴール前にクロスを送ったが、DFに弾かれた。

 ベルギーは前半16分、MFアクセル・ウィツェル(29=天津権健)が左足でファーストシュートを放つも、枠を外した。そこからベルギーが一気に主導権を握った。同25分にはFWロメル・ルカク(25=マンチェスター・ユナイテッド)に右からのクロスが通りかかり、DF吉田麻也(29=サウサンプトン)も体勢を崩し決定的なピンチを迎えるが、ルカクはシュートを打ちきれなかった。

 前半27分には、エデン・アザールの強烈な左足シュートを、川島が両拳を握り締めてパンチングで弾いた。

 同28分にはMFケビン・デブルイネ(27=マンチェスター・シティー)の左クロスに、フリーで抜け出したDFバンサン・コンパニー(32=マンチェスター・シティー)が飛び込み、決定機を作られた。

 一方的に攻められた日本だったが前半31分、香川のヒールパスをペナルティーエリア左脇で受けたDF長友佑都(31=ガラタサライ)のクロスを、飛び込んだMF乾貴士(29=エイバル)が頭で合わせるもクルトワに阻まれた。

 同35分、柴崎の後方からのロングパスを左サイドで受けた乾が、中央のFW大迫勇也(28=ブレーメン)にパスも、激しいDFの寄せに阻まれた。さらに同44分にも、乾の浮き球パスがフリーで左サイドに抜け出した長友に通り、その長友のクロスを大迫が頭で合わせてシュート。クルトワは一瞬、ファンブルしたものの押さえた。