サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会を戦った日本代表の西野朗監督(63)が5日、帰国し開いた会見で「アンダーカテゴリーの代表は、本当に世界に渡り合える力を持っていると思う。U-20(20歳以下)代表が取って代わる可能性もある。スケールの大きいダイナミックかつ日本人らしいボールを扱うサッカーもでき、期待できる」と、ユース年代の選手たちの高い可能性を強調した。

 西野監督は、4年後のカタール大会に向けて日本サッカー協会(JFA)に伝えたいことは? と聞かれると「これからですけども、やはりA代表が爆発的に成長していくということはないと思う」と語った。その上で「アンダーカテゴリーの代表、U-20、17は本当に期待できる」と力説した。その理由として、「着実に協会が育成に働きかけてきた今の状態だと思う。単純に4年後のカタール大会に向けてということではなく、着実に下の選手たちの底上げ、育成に対し、さらにかけていかないといと」と協会の着実な取り組みを強調した。

 その上で、代表の強化の課題として、これまでも指摘されてきた海外組と国内組が融合していく上で障害となる、日本の春秋制と欧州主要国の秋春制という、リーグ戦の日程の違いを挙げた。西野監督は「融合していかなければいけないが、難しさはある。欧州と国内はスケジュールが違う。9、10、11月が強化にならないのは、シーズンが違うから。選手たちのステージが違う。個は成長していくものの、各カテゴリー…U-20でも海外でプレーしている選手もいる。A代表として、そういう選手たちとの融合、改善はなかなか難しいですが、考える必要がある」と語った。

 また2点を先行しながら3失点で逆転負けしたベルギー戦の後、インタビューで口ごもって回答を保留した、勝つために足りなかったことを改めて聞かれると、次のように答えた。

 西野監督 ゲームが好転している中で、あのシナリオは自分の中で全く考えられない状況。あの30分間で自分が判断できるスピード感がなかった。まさか、ああいう状況になる、というのが考えられなかった。ベルギーに3点目をいける…実際にチャンスもあった。私だけでなく、選手もまさかの30分。それに対して、選手に対してじゃなくて、自問していた。

 西野監督は、各カテゴリーにおける日本代表のレベルが、各選手が海外でプレーし、研さんを積んでいることなどで向上していると強調しつつ、指導者のレベルアップが伴っていないことを、ベルギー戦での自らの体験、感じたことを踏まえ示唆した。【村上幸将】