ワールドカップ(W杯)ロシア大会を16強で終えた日本代表の西野朗監督(63)が5日、成田市内で主将のMF長谷部誠(34)、日本サッカー協会の田嶋幸三会長(60)とともに帰国会見に臨んだ。

 主将長谷部の最後の役目は、帰国会見での質疑応答だった。女性リポーターから次々と質問を浴びる。いずれも代表引退についてだが、爽やかな笑顔を見せながら表現を変え、答えがかぶらないよう、質問者を気遣う円熟味さえ見せた。

 長谷部 この会見が終わると公式的なものはすべて終わりだなって思います。喪失感はすごいですね。飛行機の窓から、外の雲を見て感傷に浸っていました。そして99%の満足と、1%の後悔があります。1%の後悔は残りのサッカー人生で取り組みたいです。

 格好いい言葉を並べては見たが、大会中の選手を燃え上がらせていたのは旺盛な反骨心だった。長谷部は「合宿中、みんなが口をそろえていたのは、皆さんに期待されないこの状況を、絶対にひっくり返してやろうと。その思いが強かった分、期待を取り戻せたと思う。やってやった、じゃないですけど、そういう気持ちはあります」と言い、まったく期待されなかった苦しい状況を、結果で覆したことにうれしそうに笑いフラッシュを浴びた。

 10年南アフリカ大会の岡田ジャパンは不振を極めていた中、長谷部はDF中沢から主将を託された。それから8年、3大会を主将としてチームをまとめ、西野ジャパンには辛辣(しんらつ)な意見が多い中で、三たびチームを統率して任務を全うした。会見が終わると、礼儀正しくあいさつし、歴代日本代表の中でも好感の持てる主将は大役を終えた。