ベルギーが芸術的なカウンター戦術を披露した。イングランドに攻め込ませても最後でボールを奪い、そこから縦へのパスで一気にゴールに迫る。デブルイネはトップスピードのまま「ため」を作り、絶妙のタイミングで左右を走るE・アザール、ルカクらへパス。わずか10秒、破壊力ある攻撃はシュートで終わる。

 テレビ画面も必ず真上からの映像を流すほど、美しいカウンター。圧倒的な個の力を持つ選手たちが惜しみなく走り、チームとして鮮やかに連動した。デブルイネがスピードに乗ってドリブルするだけで、ゴールのにおいがした。その攻撃は、大会の目玉だった。

 1次リーグはボール保持率が高く見せるチャンスも少なかった。しかし、日本戦終了間際に宝刀を抜き、一気にブラジルも切り捨てた。かつては「W杯が次のサッカーを決める」といわれたが、今はクラブの方が戦術的に先を行く。それでも、ベルギーが今後の「手本」になる可能性はある。