アフリカ・ネーションズ杯(Africa Cup of Nations)が来年1月9日から2月6日まで、カメルーンで開催される。予選を勝ち抜いた24カ国が4チームずつ6グループに分かれて1次リーグを戦い、各組上位2チームと同3位の中で成績の良い4チームが決勝トーナメントに進む。

今やアフリカ出身選手は欧州ビッグクラブに数多く在籍しており、この約1カ月間、多くのクラブが影響を受けることになる。英ガーディアン電子版によると、プレミアリーグでまったく影響がないのはわずか4クラブだけ。アーセナルのガボン代表FWオバメヤンやクリスタルパレスのコートジボワール代表FWザハら、最大40人ほどがチームを離れて大会に参加することになるという。

われらが日本代表FW南野拓実(26)が所属するリバプールも、大きな影響を受けるクラブの1つ。ギニア代表MFケイタに加え、世界最高の3トップとも言われるFW陣から、エジプト代表サラー、セネガル代表マネが抜けるのだ。現時点で2人のリーグ戦でのゴール数は合計18点(サラー11点、マネ7点)。チーム総得点39点の半分近くを稼いでいる2人が1カ月もの間いなくなるのだ。

クロップ監督も「我々のクラブにアフリカの選手たちがたくさんいるのは素晴らしいこと…ネーションズ杯が始まるまではね。始まってしまったら『オーマイガー!』って感じだと思う」と話す。

前回19年アフリカ・ネーションズ杯は欧州各国リーグ戦終了後の夏に行われたため、クラブが影響を受けることはなかった。だがその前の17年大会は今回と同じ1月~2月に行われたため、大きな影響があった。当時リバプールはチェルシーに次ぐ2位につけていたが、17年に入ると大失速。リーグ杯もFA杯も敗退し、リーグ戦も結局4位に終わった。

マネは自身のPK失敗などでセネガルがネーションズ杯準々決勝で敗退した後、プライベートジェットでリバプールに戻ってきた。そのためプレミアリーグは2試合の欠場だけで済んだ。それでも慌ただしい移動などで負担も大きく、選手が調子を維持するのは難しい。

プレミアリーグでは、クリスマス前後から年末年始にかけて、試合がめじろ押しとなる。各国代表と交渉の余地はあるものの、国際サッカー連盟(FIFA)の規定では、ネーションズ杯開幕の13日前までには選手を代表に合流させなければならない。そのためリバプールの場合、規定通りであれば、12月28日のレスター戦からアフリカ勢が出場できなくなる。

こんなチームのピンチに輝いてこそ、南野の存在価値があるというものだ。練習での姿勢も高く評価されている南野は、現在公式戦7試合連続出場中。中央で起用されることも増え、持ち味を発揮しつつある。サラー、マネのいない約1カ月の間にさらに輝くことができれば、チーム内での立ち位置もより確固たるものになるだろう。クロップ監督もそれを心から願っているに違いない。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)