トットナム(イングランド)がアウェーでアヤックス(オランダ)を3-2で下し、2試合合計3-3のアウェーゴール数差で、クラブ史上初の決勝進出を果たした。2-2の後半ロスタイムにブラジル代表MFルーカス・モウラ(26)がハットトリックとなる決勝点を決めて劇的勝利となった。6月1日にマドリードで行われる決勝はリバプールと対戦。07-08年シーズン以来、11季ぶりのイングランド対決となった。

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決勝進出を導いたポチェッティーノ監督は、ピッチで人目をはばからず涙を流した。前半に2失点を喫し、残り45分で決勝進出には3点が必要と絶体絶命の大ピンチだったが、195センチの長身FWリョレンテを投入してロングボール主体のサッカーに移行したことが好転。後半だけでシュート18本と攻め続け、3得点を奪って大逆転を成功させた。戦術が的中したが「戦術ではない。信念を貫いたからだ。これは奇跡に近い。信じられない」と最後まで諦めずに戦った選手たちの偉業達成を絶賛した。

同大会準決勝で史上5人目のハットトリックを記録したルーカスは「人生の中でベストマッチだった」と大喜び。チームを救い救世主となったが「ヒーローは自分ではない。みんながヒーローだ」と全員でつかんだ決勝進出だと話した。ハットトリックを成し遂げた選手は試合球を持ち帰り、仲間全員からサインをもらう習わしがある。試合後は大事に試合球を抱え込み「このような瞬間を与えてくれるフットボールは素晴らしい」と喜びに浸った。

ルーカスが「決勝でプレーすることは子どものころからの夢だった。それが実現するんだ」と気持ちを高ぶらせた決勝戦では、同じプレミアリーグで優勝争いを繰り広げているリバプールと対戦する。今季はリーグ戦で2度対戦して、ホームとアウェーともに1-2で敗れている。相性の悪い難敵が相手だ。

だが、朗報も届いた。左足首負傷で離脱して今季絶望と言われていたエースFWケーンは、試合後に走りながらピッチに入り大喜び。「リハビリは順調に進んでいる。できれば出場したい」と決勝でのプレーを熱望。大一番でエースの復帰が現実味を帯びてきた。ケーン、孫興民、エリクセン、アリ、そしてハットトリックを挙げた救世主ルーカス。プレミアリーグ屈指の攻撃陣が、クラブ史上初の優勝を目指して欧州最高の舞台に挑む。

※欧州CL準決勝でのハットトリック達成は、98年のデルピエロ(ユベントス)、10年オリッチ(Bミュンヘン)、13年レバンドフスキ(ドルトムント)、17年ロナウド(Rマドリード)以来、ルーカスが5人目の快挙となった。所属は当時。