プレミアリーグの昨季王者リバプールと国内カップ戦王者のアーセナルが対戦する「コミュニティー・シールド」が29日、ロンドンで行われ、リバプールの日本代表MF南野拓実(25)が同クラブ移籍後、公式戦初得点をマークした。

後半14分から出場し、0-1の同28分に右足で同点弾を決めた。1-1で突入したPK戦でも4人目のキッカーを務めてネットを揺らしたが、チームは4-5で敗れた。

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観客のいない聖地ウェンブリースタジアムで、リバプールの南野がついにネットを揺らした。1点ビハインドの後半28分、右サイドからFWサラーがドリブルで中央に進入すると、FWフィルミーノを狙ったパスがゴール前の南野へこぼれる。これを1タッチで再びサラーへ返そうとしたボールが相手DFに当たって南野の目の前へ。冷静に右足を振り、ゴール右へ貴重な同点弾を流し込んだ。

待ちに待った瞬間だった。今年1月にリバプールに加入。18-19年シーズンに欧州CLを制し、当時もリーグ戦で首位を独走していたチームの中では出番も限られ、公式戦14試合出場も無得点。6月のリーグ優勝決定後には「実感はあまりないし、まだここで何も示していない」と言い聞かせるように今季への思いをにじませていた。

勝利こそならなかったが、今季初の公式戦で存在感は示した。南野投入後はFWマネ、サラー、フィルミーノの看板3トップが形を変え、サラーを1トップ、南野を加えた3人が2列目へ。4人の好連係で生み出したチャンスが得点にもつながった。PK戦でも4人目に登場し、真ん中に力強く蹴り込む強心臓ぶり。かつてMF香川真司と共にドルトムントで一時代を築いたクロップ監督も「彼にとっても、私たちにとっても大きなゴール。今日はゴールだけでなく、小さなスペースを使うのが本当に上手だった」とたたえた。

加入2年目のシーズンは最高の形で始まった。始動からこの日までに行った親善試合でも調子の良さ感じさせる動きを見せており「彼ならインパクトを残せる」と指揮官。リーグ開幕は9月12日。周囲の期待も膨らむ中、これ以上ない勢いを得た南野が勝負の2年目へと臨む。

○…途中出場で結果を残した南野のパフォーマンスを地元メディアやチームメートも称賛した。英紙リバプール・エコーは南野のプレーにチーム2番目となる7点(10点満点)をつけ「彼のペースとエネルギーで瞬時にギャップをつくり、彼はゴール奪取を成し遂げた」。チームメートのオランダ代表DFファン・ダイクは「タキ(南野)はとても良かった。非常にエネルギッシュで素晴らしい選手。彼が殻を破ってきていることは我々にも、彼にも良いことです」と喜んだ。