フランス1部マルセイユに加入した日本代表DF長友佑都(33)が、逆境からはい上がる。2日、クラブ施設で入団会見に出席。トルコ1部ガラタサライを退団し、左サイドバックの2番手と明言されての移籍だが「みんなよりたくさん走っている」と定位置を奪い取る決意をみなぎらせた。背番号は25。同僚となるDF酒井宏樹(30)らとともに、欧州チャンピオンズリーグ(CL)を戦うフランスの名門で、再び輝きを放つ。

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会見場に入った長友は「メルシー(ありがとう)」と笑顔を見せた。自らが話す場面以外はマスク着用。入団会見は小さな一室だったが「他のクラブからオファーがあったけれど、マルセイユに来るというのは夢だった。すぐにイエスと答えた。世界的に有名なクラブに来ることができてうれしい」と再出発を喜んだ。

立ち位置は安泰ではない。左サイドバック(SB)には昨季26試合に出場したフランス人DFジョルダン・アマビ(26)が在籍。隣のビラスボアス監督も「アマビがただ1人の先発であることは明確なこと」と言い切った。だが、長友は折れない。11年に加入したセリエAの名門インテル・ミラノ。ブラジル代表DFマイコンらスターに囲まれ、もまれて、はい上がった。だからこそ「みんなよりもたくさん走っているし、もうすぐ34歳になるけれど、まだたくさん走れる」と自信を示し、言い切った。

「『簡単な道より難しい道を選びたい』という、自分自身の哲学がある」

単身赴任で初のフランス生活。マルセイユは明大時代に大学選抜チームで訪れて対戦し、その試合で得点したという。「当時、あの点を見て『僕にオファーが来るか』と一瞬だけ想像した。13年たって本当にオファーをもらえて、鳥肌が立った」。酒井から現地の情報を収集し、不安はない。

チームは昨季、3連覇を飾ったパリ・サンジェルマン(PSG)と勝ち点12差の2位。PSGは、8月に欧州CLで準優勝を果たすなど“国内1強”状態。今季1勝1敗のマルセイユは13日(日本時間14日)の次節、PSGと敵地で戦う。今季はCL出場権を持ち、輝く舞台は存分にある。

「プレッシャーは怖くない。むしろプレッシャーは好きな方。チームを助けるために、最善を尽くす」

フランスの地で、もう1度輝く。衰えるのは、まだ早い。(松本愛香通信員)

◆オリンピック・マルセイユ 1899年創立。フランスを代表する名門で、1部リーグ優勝9回はサンテティエンヌの10回に次いで、パリ・サンジェルマンと並び2位タイ。1992-93年にはフランスのクラブで初めて欧州チャンピオンズリーグ(CL)優勝。90年代には八百長が発覚して92-93年シーズンのリーグ優勝が剥奪され、2部降格も経験。04-05年には元日本代表のトルシエ監督が指揮を執り、MF中田浩二も在籍した。